ITmedia NEWS >

ここが変だよ、“国家認定ビンテージ”

» 2006年03月31日 12時53分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「これが入って、なんであれは除外なの?」「同じ機種が2度出てくる」「社名が間違ってる」――経済産業省が3月30日に公開した、PSEマークなしで中古販売できるビンテージ機器リスト(PDF)が「あまりにお粗末」とネット上で波紋を呼んでいる。

 PSEマークは、電気用品安全法(PSE法)に適合したことを示す印。同マークなし電子機器は4月1日から販売できなくなるが、経産省は「ビンテージ品」と呼ばれる貴重な中古機器のみ例外としてマークなしで販売可能にするとし、約2000品目をサイトでリストアップした(関連記事参照)

 大手楽器店からの情報をもとに作成したというそのリストだが、収録ブランドや機器が偏っているほか、ビンテージとはとても言えない新しい機器も。PSE法の規制対象外となるはずの、電源を内蔵していない機器も複数含まれており、機種名のダブりや社名間違いなどミスも多い。

 ネットユーザーは「機種選択の判断基準が分からない」「詳しい人が作ったリストとは思えない」「いかにもやっつけ仕事」などと、ブログや掲示板で不信感をあらわにしている。

 例えば、ターンテーブル「SL-DZ1200」(2004年6月発売)はTechnicsブランドの最新製品で、現在も販売中。プラグインソフト付きPCIカード「UAD-1 Ultra PAK」もリストに入っているが、今も販売されている上、電源はもちろん内蔵していない。

 同じ機種がダブって記載されているものもある。Colombiaの欄には「EP-61C」「ELEPIAN EP-61C」とあるが、ELEPIANはブランド名で、この2つは同じものを指す。さらに言うと同機には電源がなく、PSE法の規制対象外。加えて社名の「Colombia」は「Col“u”mbia」のミススペルだ。

 「ALLEN&HEATH」が「ALLEN&HEATH」と表示されているのは「&」の文字実体参照がそのまま残ってしまったのか。社名の誤記と機種ダブりとの“複号技”もあり、PPGのシンセサイザー「Wave 2.2」「同2.3」は、「PPG」の欄に加えて、PPGの誤記とみられる「RPG」欄にも記載されている。

 このほかにも、ローランドの「EDIROL」のようにブランド名が社名扱いされていたり、同じメーカーから発売されたシリーズで一部機種だけが抜けていたり――アラを探せばキリがない。

 経産省は、4月1日の規制前にリスト発表をなんとか間に合わせたものの、今後はリストの修正と対象機器の追加に奔走することになりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.