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「アフィリエイトもWeb2.0化が進む」──リンクシェア

» 2006年04月20日 12時36分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「アフィリエイトのWeb2.0化が進んでいる」――リンクシェアの花崎茂晴社長は、4月19日に開いたアフィリエイター向けイベントの講演でこう語った。少額の報酬を稼ぐ個人ブロガーが増え、「アフィリエイトのロングテール現象」が起きているという。

画像 花崎社長は、Web2.0というキーワードのはんらんに対して懐疑的だ。「企業をWeb1.0とWeb2.0に分けたり、ネットサービス企業が、自身がいかにWeb2.0か宣伝する、という滑稽な動きも見られる」

 花崎社長はWeb2.0について、提唱者のティム・オライリーや「Web進化論」著者の梅田望夫さんの定義を引いて「サイトの垣根を越えた連携や、ネット上の不特定多数の人々が、共同作業で創造行為を行っていく仕組み」などとし、「個の集合知、民衆の叡智を生かすビジネスモデル」と定義する。

 同社のアフィリエイターにも、Web2.0の流れに合致する動きが見られるという。不特定多数の個人――個人ブロガー――が増え、販売シェアも高まってきたのだ。

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 一方で、大手法人や、「スーパーアフィリエイター」と呼ばれる個人など、従来から高額報酬を稼いでいた上位アフィリエイターの報酬額は横ばい。市場全体が広がる中、全報酬額に占める上位者のシェアは落ち続けている。「アフィリエイトのロングテール現象が起きている。この傾向はまだ続く」

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 特にニッチな商品で、個人アフィリエイターの活躍が目立つという。例えば高島屋のECで、アフィリエイト経由で最も良く売れた商品は、家庭向けプラネタリウム「ホームスター」。ほとんどが個人のプラネタリウムブログ経由で売れており、法人サイトからの売り上げは少なかった。

 売れ筋を外れた商品が、個人ブログからブレイクすることもある。「TSUTAYA」のECのアフィリエイトで、発売から時間が経った作品が売れている場合は、多くが個人ブログ経由だという。

アフィリエイトはGoogleに食われる?

 「アフィリエイトのWeb2.0時代」は、アフィリエイトがお金儲けの道具ではなく、価値を共有するためのプラットフォームになる――花崎社長はこう指摘する。

 例えば、1曲あたりの売り上げがたった6円の「iTunes Music Store」のアフィリエイトは、金儲けのために張るには効率が悪い。しかし、自分のブログに好きな楽曲のアフィリエイトリンクを張ることで、お気に入りの音楽という“価値”を読者と共有できる。

 花崎社長はアフィリエイターに対して「個人の情報力を信じて欲しい」と説く。自分が信じた価値がきちんと伝われば、売り上げも上がるためだ。「アフィリエイターが、売り手の思いをいかに伝えるかが勝負」

 アフィリエイトはGoogleの「アドセンス」に食われるのでは――Googleの強さを強調する「Web進化論」出版以来、こういう質問を受けることが増えたという。花崎社長は、「人の力は、コンピュータには食われない」と反論する。

 アドセンスは、コンテンツと広告を自動でマッチングして表示する仕組み。人間の手が入らないため、なぜその商品をすすめるのか、商品の良さは何なのかといった思いが伝わらない。

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