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上下左右180度・超広視野角な液晶パネル、三洋エプソンが開発

» 2006年05月17日 16時48分 公開
[ITmedia]

 三洋エプソンイメージングデバイスは5月17日、液晶パネルの視野角を上下左右とも約180度にする超広視野角技術を開発し、同技術を搭載した中小型パネル5製品を今秋から始めると発表した。

photo 広色域化技術「Chromarich」も搭載した10.1インチワイドVGAパネル

 新技術「Photo Fine Vistarich」は、配向膜や液晶材料の新開発などで実現した。画面の真横や真上・真下から見ても色変化がほとんどなく、コントラストも±80度で約100:1と高い。

 全階調で応答速度が一定しているなど、動画表示にも向くという。同社が持つNTSC比100%超の広色域化技術「Photo Fine Chromarich」と組み合わせれば、180度の全方位で色再現性が高いマルチメディア向け液晶ディスプレイが可能になるとしている。

 例えば乗用車内でのDVD視聴時なら、どの座席から見ても鮮明な映像を楽しめ、ワンセグ放送対応携帯電話でも画面の角度を気にする必要がなくなるという。

photo ほぼ真横から見てもほとんど表示が変わらない

 開口率の高さから低消費電力化が可能な上、視野角特性に優れるIPS(In-Place-Switching)方式と比べ、位相差板などが不要で薄型化できる点もメリットだとしている。

 今秋の出荷を予定しているのは、10.1インチ・800×480ピクセルのアモルファスシリコンTFTパネルや2.4インチ・480×640ピクセル(VGA)の低温ポリシリコンTFTパネルなど5製品。それぞれ正面コントラスト比は500:1。2.4インチVGAパネルは約333ppiという高精細さも特徴だ。

 同社製パネルはデジタルカメラや携帯電話端末向けが主力だが、今後は携帯型プレーヤーやスマートフォン、超小型PCなどのマルチメディア市場向けが数量・金額とも拡大すると予想。広視野角・広色域などの新技術で差別化し、同市場でシェアを獲得していく戦略だ。

 開発した液晶パネルは、5月24〜26日に開かれる「人とくるまのテクノロジー展」(パシフィコ横浜)のエプソングループブースに出展する。

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