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Vistaに感じる既視感

» 2006年05月24日 14時41分 公開
[Scot Petersen,eWEEK]
eWEEK

 Windows XPの2001年のリリース直後から、MicrosoftはLonghornというコードネームの次期Windowsについて語り始めた。eWEEKはその年の秋、後にVistaと呼ばれることになるこの製品を初めて記事に取り上げた。もう5年近く前、PCテクノロジーの世界では大昔のことだ。少なくともCPU速度で700MHz分、メモリで972Mバイト分の年月が経っている。これはMicrosoftが推奨していたXPの要件と、各種付加機能すべてを含めてVistaをフルに活用するのに必要となる1GHzのプロセッサ、1Gバイトのメモリ、128Mバイトのグラフィックスメモリという要件の「差」だ。

 さらに別の角度から見ると、XPの発売前の約5年間には、MicrosoftはWindowsのメジャーバージョンを95、98、2000と3種類出荷している(Windows 2000は、実はWindows NTとして1990年代の大半を通じて開発が進められていた)。Sunのスコット・マクニーリー前CEOのような批判者たちは、次期Windowsを「LongWait」(長く待つ)と呼ぶようになったが、それはやゆではなく事実だった。2001年には2005年のリリースが目標とされていたが、リリース時期はその後再三延期され、2007年1月の一般発売という現在のスケジュールもずれ込むかもしれない。

 わたしたちが長く待たされることになったのはなぜか。MicrosoftはVistaの目標を高く設定し過ぎたのかもしれない。当初盛んに宣伝されていた機能の多くは、出荷スケジュールを守るために削除されてしまっている

 だが、もっと可能性が高いのは、Microsoftの開発チームが官僚主義に陥り、開発の複雑化という困難な壁に突き当たっているという理由だ。例えば、Microsoft Watchの編集人メアリー・ジョー・フォーリーが報告しているように、Vistaの初期βではドライバや互換性、ネットワーク機能の問題が目立っていた。フォーリーはコミュニティーサイトのHardwareGeeks.comの代表を務めるマイケル・レイエス氏のこんな発言を引用している。「作り直しが必要なサウンドスタックやビデオドライバのせいで、多くのドライバライブラリが非常に粗削りであり、システムを停止させてしまう」

 ドライバの問題。システム停止。これではWindows 95の二の舞だ。Microsoftは、eWEEK Labsのシニアアナリスト、ジェーソン・ブルックスが自分のブログで、大量のリソースを消費する「見掛け倒し」と形容した機能をカットし、安定性と信頼性に重点を置くのが賢明だろう。もちろん、わたしたちは何年もそう言ってきた。そしていまだに待っている。

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