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ネットインフラが悲鳴 「ネットテレビ+デイトレ」のダブルパンチ

» 2006年05月25日 18時20分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「データセンターが危機に瀕している」――動画配信サービスの普及や金融サービスのネット化加速により、データセンターやIXの処理能力が限界に来ていると、野村総合研究所が分析した。都心部のデータセンターはすでにパンク状態だが、ニーズは都心部に集中し続けているという。

 同社によると、データセンターのコンテンツ蓄積量は年率8割以上増えており、うち2割以上を動画配信が占める。ネットトラフィックも年率2倍近い伸び。動画配信に加え、ネット経由で頻繁に株式売買を繰り返す個人投資家が急増していることが、トラフィック増の一因となっている。

 このような動きが、ネットバブル後低迷していたデータセンター需要を一気に引き上げた。「データセンター市場が再成長期に入った」と、同社情報・通信コンサルティング二部長の桑津浩太郎氏は指摘。各センターの稼働率もジャンプアップし、「稼働率6割〜7割で拡張を検討するレベルだが、首都圏の人気センターでは8〜9割のところもある」(桑津氏)という。

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 特に、NTTとKDDIのIXがある大手町(東京都千代田区)で、データセンターの供給不足が著しいという。ネット関連の新サービスを続々と投入している金融関連の企業が、東京証券取引所(日本橋兜町)に近い大手町にデータセンターを構えたがるためだ。

 都心のビルに新しいデータセンターを作れば需給問題は解決しそうだが、それも難しいという。データセンターは、建物の強度や構造、電源の容量など条件が厳しく、都心部で空いている古い建物では、基準に合わないことが多いためだ。

 地方に新たなデータセンターを構築する手もあるが、その場合は人材の問題に直面する。データセンターにはネットワーク技術者が不可欠だが、高度なネットワーク技術者は都内に一極集中している状態といい、地方では人材が見つけにくい。

 とはいえこのままでは、2010年までに、大手町で約40万平方メートルのデータセンター需要が発生し、うち30万平方メートルが不足する見込みという。データセンターは今後、都内湾岸地域や、地方への分散を余儀なくされるだろうと同社は見ている。

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