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» 2006年05月26日 16時22分 UPDATE

「デジタルなのに手作り」 太郎商店が挑む、バカコンテンツ新ジャンル (1/2)

あのロボットが“手作りのデジタルデータ”になったら――バカグッズ開発で有名な「太郎商店」が、デジタルなのに手作り、という不思議な新ジャンルを開拓する。

[岡田有花,ITmedia]

 「太郎商店」という玩具ブランドをご存じだろうか。「自爆ボタン」「コレジャナイロボ」などノスタルジックなバカ玩具で有名で、手作り商品は常に数カ月待ち。武笠太郎さん(32)と坂本嘉種さん(36)の2人で作る人気ブランドだ。

画像 武笠さん(左)と坂本さん。手前左から「自爆ボタンDX」「コレジャナイロボ敵バージョン」「コレジャナイロボ」「自爆ボタンちょいDX」

 自爆ボタンは、押すといかにも自爆しそうなスイッチだが、押しても何も起きない。コレジャナイロボは、絶妙なニセモノ感が売りの木製ロボットで、もらった子どもが「欲しかったのはこれじゃなーい」叫んでしまう、という悲しいグッズだ。

 これらのバカグッズの“デジタルコンテンツ版”を作って製作過程を「デジタルトイ開発ブログ」で公開し、ネット販売してしまおうというプロジェクトが、フジテレビと共同で進んでいる。普通のコンテンツではない。複製が簡単なはずのデジタルコンテンツなのに「手作り」で「オンリーワン」なのだ。

 第1弾は「コレジャナイロボ<紙グレード>」。コレジャナイロボをペーパークラフト化し、その台紙をダウンロード提供する。制作に「宇宙戦艦ヤマト」のペーパークラフトなどで知られる松本圭司さんを起用するなど、やたらと力が入っている。

画像 奥が木製の「コレジャナイロボ」で、右は「敵バージョン」。手前はペーパークラフトのコレジャナイロボ

 ロボの顔はすべて手書きで、1つ1つ異なる。「オーダーごとに顔を描き、スキャンして貼り付けて――結構大変」と、フジテレビジョンデジタルコンテンツ部主任の小池秀樹さん(38)は語る。同じデータは2度と使わないという不思議な努力を注ぐのは、「思いっきりバカバカしいことををやりたい」(小池さん)からだ。

 自爆ボタンデジタル、略して「自デジ」は、自爆ボタンのデスクトップアイテム版。手作り1点ものではないが「1回押すと2度と使えなくなる」という、デジタルコンテンツにあるまじきホンモノ感が売りだ。

画像 アナログの「自爆ボタンDX」(左)と「自爆ボタンちょいDX」。デジタル版は制作中

 第3弾も準備している。「野望スクリーンセーバー<あなたの期待に応えたいバージョン>」だ。世界征服の野望や進ちょくを描ける世界地図入りポスター「野望ポスター」のスクリーンセーバー版で、ユーザーの野望を書き入れ、カスタマイズした1点もので提供する。

画像 アナログの「野望ポスター」

 デジタルコンテンツといえば、全く同じものをコピーできるのが当たり前だが、なぜ1点ものにこだわるのか――小池さんはドラマ「電車男」の公式サイトを振り返り、この発想に行き着いた背景を説明する。

 「電車男のドラマの公式サイトは大人気で、1日70万ユニークユーザーが来ることもあったが、サイトで壁紙を売ってもあまり売れなかった」(小池さん)

 他の人気番組の公式サイトでもコンテンツ販売を試したが、なかなか売れない。その理由はいくつも考えられるが、小池さんは「皆と同じものを持つことが気恥ずかしいためでは」と推測する。「他人の着メロが自分のと同じだと気恥ずかしいように」

画像 坂本さん、武笠さんと小池さん(右)の3人で話し合いながら企画を固める

 デジタルでも人と違う。デジタルでもオンリーワン。こんなコンセプトなら売れるのではと、小池さんは考えた。無料コンテンツがあふれるネットだが、太郎商店というカリスマや、松本圭司さんというプロ中のプロを起用した1点もので勝負。「買ってもいい」と思えってもらえるクオリティを目指す。

 デジタルトイ開発ブログは、最大で1日1万ユニークユーザーが訪問したという。「フジテレビのブログの中で最高アクセスだった」(小池さん)。特に、コレジャナイロボ紙グレードの試作版の動画が人気。リリーフランキーさんが出演したフジテレビサイトの動画よりもアクセスが多かった、という。

画像 デジタルトイ開発ブログ

 商品は、5月〜7月にかけて開発し、完成次第売り出す。コンテンツの製作はフジテレビのデジタルコンテンツ部が担当。テレビと連動したプロモーションなどは行わず、ネットの世界で1本勝負。価格は数十円から数百円の予定だ。

バカグッズのまじめな意味

 デジタルでもアナログでも、太郎商店がやりたいことは1つという。

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