これはわたしが1991年に、PC WEEK(今のeWEEK)のグループウェアの記事のためにLotus Notesの製品管理ディレクター、エリック・ソール氏に取材したときのインタビューからの引用だ。
Wiki開発者でEclipse Foundationのコミッターコミュニティー開発ディレクター、ワード・カニンガム氏は、Wikiは素晴らしいと考えている。最近eWEEKのダリル・タフト記者の取材の中で、同氏は「Eclipseはこの方法論の成果の輝かしい例だ」と話していた。
ワード氏とその仲間にとって、確かにWikiは素晴らしいものだ。わたしの経験から言うと、人々は仕事やワークフローの習慣をわざわざ変えたがらないものだ。(Eclipse Foundationのメンバーのように)非常にやる気のある作業者がかかわっていない限り、Wikiは使わないだろう。
これはソフトの問題ではない。例えば、eWEEK Labsのスタッフは「CustomerVisionのBizWikiはコンテンツを協力して作成、管理するための洗練されたツール一式をユーザーに提供する」と評価しているし、わたしも彼らの言うことを信じている。Wikipediaの基盤となっているMediaWikiというソフトは各方面で賞賛されており、その評価に値するとわたしも確信している。
Wikiの真の問題はグループウェアの持つ問題と同じだ。素晴らしいアイデアだが、ほとんどの人は使わないということだ。
例えば、わたしはNotesが大好きだ。本当に好きだし、わたしにはそれなりのNotesプログラマーだった時期がある。Notesは、全国に分散したチームがほかの方法ではできない作業を効率的に、迅速にできるようにしてくれる。だからNotesユーザーが坂を上るナメクジのようにもたもたしていたら、そこで作業時間の大半を食ってしまう。
どんなソフトを使うにしろ、共同作業というのはほとんどの人にとっては簡単なものではない。
もう1つの問題は、ウェールズ氏とその仲間が突き当たった問題だ。結局のところ、誰かが情報やワークフローなんかを管理して編集しなくてはいけないということだ。この点で、Wikiはワークフローツールの1つでしかなくなる。
遅かれ早かれ、管理や給料の支払いをやっている人たちは、「わざわざ手間をかけて作業を追跡する理由があるのか。そんなことしなくても作業できるのに」という疑問を持つだろう。そういうことだ。
わたしが目にしてきたケースでは常に、最後には結局、コラボレーションツールは使われずにホコリをかぶることになる。
ユーザーが互いに協力しないというわけでも、彼らが自分のやり方を変えないというわけでもない。彼らはそうするし、そうしてきた。例えば、わたしの領分であるテクノロジージャーナリズムでは、今や電子メールとIMがほとんどの人が「話し」、記事や出版物で協力する手段となっている。オープンソースソフト開発のやり方もそうだ。
わたしが知る共同作業の最も優れた例はLinuxだ。開発者がどうやって協力しているかというと、最も古くて安上がりなオンラインコミュニティーコラボレーションツールを使っている――Linuxカーネルメーリングリストだ。
リーナス(・トーバルズ氏)とその仲間は大事なことを分かっているのかもしれない。
WikiやNotesのようなグループウェアは、今も精度、ワークフロー、そのほかあらゆる良いものを改善する優れたアイデアのように聞こえる。だが、実際はそんなにうまくはいかないのだ。
あちこちに散らばった人たちと協力したいのなら、オープンソースのMailman MLM(メーリングリストマネージャ)を使ったメーリングリストをお勧めする。
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