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Intel、「4コアプロセッサではAMDに先行」と宣言

» 2006年06月14日 18時01分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 米Intelは今後1年以内に、他社と異なる設計を引き続き採用した新型プロセッサを投入し、ライバルのAMDを上回る性能と電力効率を実現する構えだ。Intel幹部が明らかにした。

 Intelの総合アーキテクト、ディリープ・バンダーカー氏は6月13日、Bear Stearns Securityの主催でニューヨークで開催されたカンファレンスで講演を行い、2007年前半に出荷予定のIntelの4コアプロセッサ「Clovertown」は、2個のデュアルコアプロセッサを1つのパッケージに収めたものになり、これらのプロセッサにメモリコントローラは統合されないと述べた。

 バンダーカー氏は、メモリコントローラ(システムメモリとのデータのやり取りを管理する)をプロセッサに直接統合する方が、チップセットに組み込むよりも、一部のワークロードでは性能が高くなると認めた。

 だがIntelの幹部らは、4コアプロセッサをAMDよりも早く市場投入することがより重要だと考えたという。IntelはAMDよりも1〜2四半期先行できると見ている。

 またバンダーカー氏は、現時点では、メモリコントローラをオンボードに搭載する差し迫った必要性はないとも語った。「われわれは新しい製品で、メモリコントローラを統合しなくても性能を高められることを証明してきた」

 とはいえ、Intelは将来的にはメモリコントローラをプロセッサに組み込むだろうとバンダーカー氏は付け加えた。だが同氏は詳しい説明は控えた。同様に、Intelはグラフィックスコントローラをプロセッサに統合することも考えているが、スケジュールはまだ決まっていないとバンダーカー氏は述べた。

 Intelはここ数年、圧倒的に優勢だった市場シェアをAMDに侵食されてきた。AMDがOpteronプロセッサで64ビット機能やデュアルコア機能をIntelに先駆けて製品化したことが大きな要因だ。

 また、Opteronプロセッサは電力効率でもIntelのXeonプロセッサを一貫して上回っている。しかしバンダーカー氏は、6月26日にリリースされる「Woodcrest」など今後登場するデュアルコアプロセッサにより、その差は縮まっていくと述べた。Woodcrestは現行のXeonプロセッサよりも80%高い性能を提供し、消費電力は35%低くなるという。

 同氏によると、2006年末までに、Intelが出荷するXeonプロセッサの90%がデュアルコア化され、そのうち3分の2がWoodcrest設計になる見通しだ。

 またバンダーカー氏は、AMDの4コアプロセッサ設計では、1つのシリコンチップに4個のプロセッシングコアが搭載されてパッケージ化されるのに対し、Intelの4コアプロセッサではマルチプロセッサパッケージが採用されるが、Intelは、そのために性能が大きく犠牲になることはないと予測していると語った。現行の「Bensley」サーバプラットフォームと同様に、Clovertownの性能は、デュアルコアプロセッサごとに専用のフロントサイドバスを独立して接続することで補強される。

 バンダーカー氏は、Intelが過去に消費電力の問題で判断を誤ったことを認めた上で、Intelはこの失敗から学び、現在、ユーザーの関心が高まっているこの問題に精力的に取り組んでいると語った。Intelは消費電力の問題を契機にプロセッサアーキテクチャの再設計スケジュールを前倒しした経緯がある。

 「われわれは、クロック周波数を上げて性能を高めることに力を入れるあまり、プロセッサの消費電力の増大を問題として認識するのが少し遅れてしまった」とバンダーカー氏。「われわれは反省している。読みを誤り、そのせいで痛手を負ってしまった。だが今では、われわれはやり方を変えている」

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