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「ココログ」障害に募る不満 訴訟準備のユーザーも(1/2 ページ)

» 2006年06月20日 15時30分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ニフティのブログサービス「ココログ」の障害に、ユーザーの不満が高まっている。昨年夏ごろから有料版のレスポンスが急速に悪化。記事を投稿できなかったり、管理画面にアクセスできないなどさまざまな不具合が続出し、「改善が進まないまま課金を続けるのはおかしい」と業を煮やして訴訟準備を進めるユーザーも現れた。

 ココログは大手ISPの先陣を切って2003年末に開始し、眞鍋かをりさんを起用するなどのプロモーションを実施。ブログの浸透に努力してきた。今やブログは日常的になくてはならないサービスに成長したが、同時に“使えて当たり前”という高い安定性も期待され、事業者に対するユーザーの視線は厳しくなっている。

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 ココログは、米SixApartのブログホスティングサービス「TypePad」をカスタマイズしたブログサービスで、ラインアップはISP「@nifty」会員向け「ベーシック」(無料)、「プラス」(月額税込み450円)、「プロ」(同998円)と、非会員でも無料で使える「フリー」の4種類。障害が続出しているのは会員向けのベーシック、プラス、プロだ。

 同社の告知ブログ「お知らせココログ」でレスポンス低下が最初に報告されたのは1年前の昨年6月。同年の10月、11月にも、トラックバックスパムが集中したためレスポンスが低下している、との報告が上がっている(関連記事参照)

 こうした中、完全無料の「ココログフリー」が始まった同年11月後半ごろ、既存のベーシック、プラス、プロのレスポンスが急激に悪化。非会員向け無料版の方が既存版より高機能だったことも既存ユーザーの怒りを買い、社長がブログで謝罪するという事態に発展した(関連記事参照)

 その後レスポンスはある程度改善したが、今年に入ってまた大きな障害が発生した。有料サービスの機能を無料版と同等に高める機能追加を3月に行った後、投稿ができなくなったり、デザインが崩れたり、記事本文が全てサイドバーに表示されたり――さまざまな障害が同時発生し、社長がブログで再び謝罪(関連記事参照)。完全復旧に数週間を要した。

 それ以降もレスポンスが悪い状態が続き、6月8日に大規模メンテナンスを実施。ある程度改善したものの、いまだに「他人の記事が表示されていて驚いた」「記事の編集ができない」といった障害が報告されている。同社が特設した「ココログレスポンス問題お知らせブログ」のエントリーには、コメントやトラックバックで不満を寄せるユーザーが相次ぐ。

 一部ユーザーからは「ニフティは正式に謝罪してほしい」「障害があった期間は無料にしてほしい」などと具体的な行動を求める声も上がっている。その1人、「元社長日記」を開設する「よっし〜」さんは、損害賠償を求める内容証明郵便を同社に送付した。

 ニフティはココログの利用規約(6条7項)で、同社の責任を「ユーザーが支障なく利用できるよう、善良なる管理者の注意をもってサービスを運営することに限られる」とし、「故意または重大な過失があるときを除き、いかなる責任も負わないものとし、損害賠償義務を一切負わないもの」──と定めており、利用登録時にはユーザーは同意する必要がある。

 これに対しよっし〜さんは「ココログは既存ユーザーの使用量に対してキャパシティーが十分でなく、既存ユーザーが満足に使えない状況だったのに、新規ユーザーの募集や、さらに使用量を増やすための各種イベントやキャンペーンを行っていた」と指摘。これは規約で定めたニフティの善管注意義務に違反しており、故意または重過失による損害だとして賠償を求めている。

 同社からの返信には「レスポンス向上のめどがつくまでココログのプロモーションを抑制する」「情報提供をこれまで以上に行う」とあったが、賠償には応じなかったという。

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