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ソニーに279億円の追徴課税 「移転価格税制」異議申し立てへ

» 2006年06月30日 16時50分 公開
[ITmedia]

 ソニーとソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は6月30日、東京国税局から744億円の申告漏れを指摘され、約279億円の追徴課税(更正処分)の通知を受けたと発表した。両社は「各国の税制に従って適正な納税を行なってきており、通知は遺憾」とし、当局に異議申し立てを行う方針だ。

 処分は「移転価格税制」に基づくもの。国内外の親子会社間などで、通常の取引価格より安い値段で取引する方法で所得を移転することを防ぐため、通常の取引価格に直した上で課税する。

 両社によると、申告漏れが指摘された取引は、1999年度から2004年度にかけての、SCEIと米子会社のゲーム事業に関する取引と、2003年度から2004年度にかけての、ソニーと海外の複数子会社とのCD・DVDディスクに関する取引。当局は、それぞれの取引が、通常の取引価格より安い価格で行われ、日本で申告すべき所得があったと判断したもようだ。

 両社はこれに対し「二重課税」と反論し、租税条約に基づく2国間協議の開始を申請するとしている。「今後の手続きで二重課税は回避されると見込まれる」として連結損益に大きな影響はない見込みだという。ソニーの2006年3月期の連結純利益は1236億円。

 移転価格税制をめぐり、武田薬品工業も今月、1223億円の申告漏れを指摘され、総額約570億円の追徴課税を受けた。同社も「所得移転の意図はない」として異議を申し立てる方針だ。

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