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スパイウェアは数も増加、悪質化も進む――トレンドマイクロ

» 2006年07月05日 17時34分 公開
[ITmedia]

 かつて主流だったワーム型のウイルスに代わり、ボットやスパイウェア、アドウェアの報告件数が増加している――トレンドマイクロは7月5日、2006年上半期のウイルス感染被害レポートを公開した。

 このレポートによると、2006年上半期のウイルス感染被害報告数は、前年同期の1万6197件に比べ大幅に増加して4万2741件に上った。最も多く報告が寄せられたのは、Web閲覧履歴などを収集するスパイウェアの「SPYW_GATOR」で、1708件に上った。ワースト2位にはボットの「WORM_RBOT」(480件)が、3位はアドウェアの「ADW_WEBSEARCH」(473件)が入っている。

 トレンドマイクロによると、スパイウェアなどの数が増加するだけでなく、悪質化も進んでいるという。その例の1つが、詐欺サイトに仕込まれ、クリックすると金銭を支払うよう脅迫メッセージを表示する「ワンクリックウェア」だ。また海外では、PC内のデータを勝手に暗号化し、元に戻すために身代金を要求する「ランサムウェア」の被害も報告されているという。

 同社はまた、6月のウイルス被害状況の特徴として、実際にはウイルスに感染していないにもかかわらず「感染している」などと脅す偽のポップアップメッセージを表示し、ウイルス対策ソフトと称するプログラムを押し売りしようとする悪質なプログラムが確認されていることに触れている。この手の押し売りプログラムは、「偽メッセージ内のウイルス名を変更するなど、細かい改造を繰り返し、亜種が続いて出現」していることから、十分な注意が必要だという。これも、悪質化するスパイウェア/アドウェアの一種と言えるだろう。

 トレンドマイクロはほかに、上半期のウイルスの傾向として、「Antinny」に代表されるWinnyを悪用するウイルスによる情報漏洩が多発したことにも触れた。ただし、「一般に発信元が不特定なファイルにはウイルスが紛れ込んでくる危険は高い」ことから、警戒が必要なのはファイル共有ソフトだけではないとも指摘している。

 また、以前ほど大きな話題にはなっていないが、ボット系不正プログラムによる被害が継続していること、しかもスピア攻撃的にターゲットを絞った侵入が増えていることにも注意が必要という。

 もう1つの傾向として、イベントに便乗したウイルスや迷惑メールが登場したことも挙げられている。2006年2月には冬季オリンピック、6月にはFIFAワールドカップが開催されたが、これらのイベントに便乗し「チケットが当たった」などと偽って添付ファイルを開かせようとするウイルスが登場した。たまたま日本語以外の言語で流通したため、国内での被害はほとんどなかったというが、こうした手口は「最も狙われやすいもの」(同社)であり注意を払うべきという。

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