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Apple、中国のiPod工場での労働環境調査を報告

» 2006年08月19日 07時21分 公開
[ITmedia]

 米Apple Computerは8月17日、中国にあるiPod組み立て工場での労働環境調査報告を発表した。この工場で、児童労働や強制労働の例が見られるとの報道を受けてのもの。調査報告によると、報道されたような強制労働は見られないものの、Appleの社内規範に反する点もあり、今後も調査/改善を進めていくとしている。

 発端となったのは、英国の新聞Mail on Sundayの記事。中国のこの工場で強制労働が行われ、報酬は最低賃金に満たないなどと報じた。これを受け、Appleでは内部監査チームを結成、現地でインタビューや書類の調査、現場視察などを行い、労働基準、労働/生活環境、報酬、時間外労働、待遇の5分野について報告をまとめた。

 労働基準分野では、報道されたような強制労働や児童労働の例は見られなかった。労働/生活環境は社内規範を満たしているものの、労働者の宿舎に改善の余地があり、現在新しい宿舎を建築中だという。報酬に関しては、最低賃金は確保されており、無料健康診断なども行われるなど特に問題は見られないものの、報酬体系が複雑すぎるため、この点をAppleの規範に沿うよう改善中だという。

 時間外労働では、「労働時間は週60時間以下、1日以上は完全に休み」というAppleの規範以上の労働が行われていたと報告。今回調査した過去7カ月分のデータでは、35%が週労働時間を超過しており、25%が6日以上連続して働いていたという。規範では、繁忙期対応など例外的な労働時間の超過を認めてはいるが、状況を改善するため、運用方針の変更を行っているという。待遇面については、インタビューで、大部分の労働者が満足しているとの結果を得られたものの、懲戒のためとして2人が直立不動の姿勢を強制されたことも判明。こうした懲戒が行われないよう指導していくとしている。

 Appleでは、労働環境改善を目指す非営利団体Veriteと協力し、今後も状況の改善に努めるという。2006年中には、MacやiPodの組み立てを行っている全てのサプライヤー工場に対し、Appleの労働規範に反していないかの調査を完了するとしている。

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