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» 2006年08月29日 18時42分 UPDATE

“国策”としてのゲーム産業 政府が初の報告書

国内では市場縮小で苦戦しているゲーム産業だが、コンテンツ立国を目指す政府にとっては重要な“資源”だ。「ゲーム脳」などマイナスイメージと産学官連携で向き合いながら、輸出産業として育てていく。

[岡田有花,ITmedia]

 経済産業省はこのほど、ゲーム産業に関する報告書「ゲーム産業戦略 〜ゲーム産業の発展と未来像〜」を発表した。米国やアジア諸国に押され始めている国内ゲーム産業の現状や、産業として発展させるための開発戦略・ビジネス戦略などに言及。コンテンツ立国を目指す政府は「ゲームは国内コンテンツ産業で最大の輸出産業」ととらえ、国際展開を加速させていく戦略を示している。

 報告書は、同省の「ゲーム産業戦略研究会」(委員長:馬場章・東京大学情報学環教授)がまとめた。同研究会にはスクウェア・エニックスの和田洋一社長などが委員として参加した。

 「ゲーム産業を個別で取り上げて議論するのは、国としてはおそらく初めて」――同省の小糸正樹文化情報関連産業課長は、8月29日に東京大学で開かれた説明会でこう述べ、その意義を強調する。

 ゲーム産業には、政府や大学はそれほど関わってきておらず、業界の努力でここまで発展してきた。ただ国内市場は縮小傾向。国内家庭用ゲームソフト市場は1997年の5833億円をピークに減少を続け、2005年は3141億円と1997年の56%にまで落ち込んだ。

 一方、欧米ではゲーム市場は拡大中だ。2005年の家庭用ゲーム市場規模は、北米で2001年比2.1倍、欧州で同3.04倍。米国のゲーム製作会社が力をつけ、売り上げを伸ばしているほか、韓国などアジア諸国のオンラインゲームも伸びている。

 国際競争が激化する中、次世代機の投入が始まり、開発環境も変化している。「ゲーム産業が始まって30年。ステージが変わった」――スクウェア・エニックスの和田社長がこう指摘するように、日本のゲーム産業も転換期に入っている。

 報告書では、国内ゲーム産業の課題として(1)多様化したライフスタイルに対応したゲームの提供、(2)ゲーム産業を取り巻く環境の変化(技術やネットワーク環境の向上)への対応、(3)社会とゲームとの関係の向上――を挙げ、日本のゲーム産業が世界をリードし、社会や国民に広く支持を受けることを未来像に掲げる。

 今後の戦略は、開発、ビジネス、コミュニケーションの3つに分けて提示。開発戦略は、ゲームクリエイターの表彰制度や大学などでの優秀な人材の育成・発掘、研究開発の促進などを、ビジネス戦略は、東京ゲームショウの情報発信力の強化(関連記事参照)、オンラインビジネスの推進、ベンチャー企業の支援などを、コミュニケーション戦略は、ユーザーや保護者、メディアに対する情報発信の強化や、ゲームの教育目的利用の促進などを挙げている。

一人歩きする「ゲーム脳」という言葉

画像 「シリアスゲームなど、教育に生かせるゲームはある」と和田社長

 「ソフト開発はモノ作りではないと言われ、エンターテインメントは学問ではないと言われる。ゲームはその両方がかぶっているから、いじられやすい」――和田社長はゲームの置かれた微妙な立場をこう分析し、産学官連携でゲームをモノ作り・学問としてとらえる今回の取り組みを「画期的」と評価する。

 とはいえ「ゲームには根強い偏見がある」(和田社長)のも事実。特に「ゲーム脳」という言葉の影響は深刻という。和田社長は「ゲームはインタラクティブメディア。当然、いい影響も悪い影響もある」ととらえ、ゲームの有用性に着目した研究や評価の必要性を訴える。

 東大の馬場章教授は「ゲーム脳の研究に関しては、科学的な反論も出ているのに広がらない。きちんと解明し、反論していきたい」とし、積極的な情報発信で誤解を解いていきたいとした(関連記事参照)

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