ジャストシステムは10月3日、ロシアKaspersky Labs Internationalが開発したセキュリティソフトを11月に発売し、国内セキュリティソフト市場に参入すると発表した。Kasperskyの技術力の高さを売りにネット上級者をターゲットにし、来年3月までにシェア5%獲得を目指す。
Kaspersky Labsは、セキュリティ専門家のユージン・カスペルスキー社長が1997年にモスクワに設立したセキュリティソフトベンダー。欧米を中心に60カ国以上に進出しており、各国の企業や国防機関などで利用されているという。国内でも昨年からライフボートと提携し、セキュリティソフトを販売してきた。
ジャストシステムはKaspersky Labsのコンシューマー向け製品について、5年間の国内独占販売契約を結んだ。11月17日にWindows向け総合セキュリティソフト「Kaspersky Internet Security 6.0」、アンチウイルスソフト「Kaspersky Anti-Virus 6.0」を発売する。ライフボートには、代理店として協力してもらう。
「Anti-Virus」は、定義ファイルを1時間に1回と頻繁に更新し、第三者機関の調査でウイルス検知率の高さはナンバーワンと認められたという。定義ファイルに記載されていない未知のウイルスを検知する機能や、ウイルスに感染したPCにインストールできる機能、圧縮ファイルを解凍せずにスキャンする機能も備えた。「Internet Security」は、ファイアウォール機能やアンチスパイウェア、アンチスパムも備えた。
価格は、Internet Securityが1万2800円(税別)、Anti-Virus 6.0が8800円(同)。割安な優待版(数量限定)や複数ライセンス版も販売する。対応OSはWindows 2000/XP。Vistaにも対応する予定だ。
国内セキュリティソフト市場は、長くトレンドマイクロとシマンテックの上位2社が寡占してきたが、2003年にソースネクストが低価格なソフトを投入。2社からシェアを奪ってきた。
BCNの調べによると、今年7月第4週のライセンス数シェアは、シマンテックが36.4%、ソースネクストが31.3%、トレンドマイクロが22.4%と3社でシェアを分け合っている状態。2003年に再参入したマカフィーは4.6%と苦戦を強いられている。
後発として参入するジャストシステムが打ち出したのは、「毎日2時間以上ネットをするユーザー向けの総合セキュリティソフト」というコンセプト。仕事などで頻繁にPCを使う上級者をターゲットにすえる。来年3月までに25万本(セキュリティソフト市場シェア5%)・15億円の販売が目標だ。
同社の浮川和宣社長は「安価なソフトが市場でシェアを伸ばしているのは認識しているが、ウイルス作成は個人の愉快犯的なものから組織犯罪に変わり、悪質化している。ウイルスに正面から向き合うためには高い品質が必要」と語る。同社の会員550万人へのダイレクトメールに試用版を同梱するなど、既存のユーザーベースを活用する販促活動などでシェアを高めていく計画だ。
将来は同社内にセキュリティ専門部署を立ち上げ、XML関連のセキュリティ事業にも乗り出したいと浮川社長は語った。
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