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CGMで稼ぐための技術(1/2 ページ)

» 2006年10月10日 07時25分 公開
[伊地知晋一,ITmedia]

 ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、ユーザーが情報発信するCGM(Consumer Generated Media)が注目を浴びています。

 そのビジネスモデルは、Google検索のようにコンテンツマッチング広告から収益を得る「広告型」、Amazonのようにアフィリエイトなど販促から収益を得る「販促型」、Yahoo!オークションのように個人間で取引の際に手数料を徴収する「エスクロー型」、@cosmeのように口コミデータを整理し、データベース化することをビジネスにする「データベース型」などがあります(関連記事参照)。

 本稿では、これらのビジネスを展開し、また、収益性をさらに高めるために必要な手法や技術にはどんなものがあるかを解説します。

技術の方向性

 CGMビジネスでは、「情報を発信し、人に見せたい人」(発信側)と「情報を見たい人」(受信側)をマッチングして双方の欲求をかなえつつ、2つの欲求の狭間に、対価が得られる情報を入れ込むことが1つの方向性になっています。

 発信側の欲求は、自分が発信したものに共感してくれる人たちを集め、そこから反響を得ることでしょう。受信側の欲求は、自分が関心がある分野で、信頼性の高い情報や、あるいは関心があることを気付かせてくれる情報に簡単にアクセスすることです。

 その欲求の狭間に、受信側が関心を持ちそうな商品やサービスの情報を織り交ぜれば、広告型ビジネスとなります。Googleのアドセンスはこれに当たるでしょう。Amazonや価格.comのように、ユーザーレビューを見せることで商品やサービスへの関心を深め、販売促進に繋げることもできます。

 これらは、事業者側が情報を一方的に配信する「1.0型メディア」上では比較的簡単なことでしたが、ユーザーが双方向で情報発信するWeb2.0型メディアで実現しようと考えた場合には、さまざまな障壁が存在します。

 例えば、1.0型メディアの情報には編集の手が入るため、そこに何が表示されているかが明確で、「静的な情報」と言えます。そのため、そこにどんな商品やサービスの広告を入れると効果が得られるかが、広告主や媒体社にとって判断しやすいものです。

 これに対してWeb2.0型メディアはユーザーが情報を生成するため、そこにどんな情報が入るかが常に変化する「動的な情報」と言えます。このため、広告主や媒体社は、掲載広告の商品やサービスが、その媒体の内容や、媒体を訪れる消費者に合っているか判断しにくく、ミスマッチが起きる可能性があります。

 つまり、Web2.0型メディアでは、書かれている内容や情報の信頼度、価値のある情報がどこにあるか、誰がどんな目的で見に来ているか、見に来ているユーザーのし好は何か――といったことが、1.0型メディアと比べると分かり辛いのです。

 これらが分からないままビジネスを展開するのは効率が悪くリスクも伴うものです。CGMをメディア化するための手法や技術の方向性は、これらを解決するためのものだと考えると分かりやすいのではないかと思います。

ビジネスを支える手法や技術

“衆知”の結合

 個々の情報は小さな価値しかなくても、それらが集まり、整理されることで、単純に情報の数を足し合わせた価値以上のものが発揮されます。

タグによる分類(Folksonomy)

 タグとは、CGMプラットフォームに情報を投稿しようとする際に、その情報がどういう性質のものかを示すキーワードを添付するものです。スーパーマーケットの商品の札のようなもので、それが何なのかを知らせるためにあります。

 タグの始まりは、ソーシャルブックマークサイトで、ブックマークしたWebサイトが何を意味するかを分類するために付けられたことです。すでに投稿された情報に対して、投稿したユーザー以外も自由にタグを追加し、情報の意味を更新していくことで、意味に広がりができ、環境に合ったものになっていきます。このように、ユーザー全員でタグを共用し、管理する手法をFolksonomy(Folks:皆の+taxonomy:分類学)と呼ぶことがあります。

タグによるCGMプラットフォームの横断検索

 口コミ情報にタグを付ければ、プラットフォームの垣根を越え、異なる性質の情報を同じタグでつなぎ合わせたり、タグから情報を検索することができます。

 タグ検索ポータルの「TAGGY」は、この特性を利用したサービスです。例えば、「ラーメン」のタグを検索すれば、ニュース、ブログ、ソーシャルブックマーク、フォト、ビデオ、ポッドキャスティングの中から「ラーメン」に関する情報がそれぞれ表示されます。

 タグ検索は、Googleを始めとしたロボット検索と異なり、人の手で情報の意味を指定しています。ロボット検索は、検索キーワードと一致するキーワードをテキストから拾い出す仕組みですが、検索でヒットした文章が、全体としてキーワードの意味を表しているかどうかは分からず、ミスマッチが起きる可能性があります。それを、少し人手をかけることで補うのがタグです。

 しかしタグにも多少の問題点があります。同じ意味でも異なる単語のタグが付けられてしまうことがあり、求めている情報が検索結果に表示されないことがあります。

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