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IE 7開発者が語る「IE 8」から「Ajax」まで(1/2 ページ)

» 2006年10月27日 19時21分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Internet Explorer(IE)のバージョン7をリリースしたばかりのMicrosoftだが、IEのプラットフォームアーキテクトによると、同社は既にIE 8――もしくは「IE Next」?――に取り組んでいる。

 米マサチューセッツ州ボストンで今週開催されたAjax Experienceカンファレンスで、MicrosoftのIEプラットフォーム担当プラットフォームアーキクト、クリス・ウィルソン氏は、「当チームは現在IE 8に懸命に取り組んでいる」とし、笑みを浮かべながら「『IE Next』と呼ぶべきかもしれないが」と言い添えた。

 いずれにしろ、IEの次期バージョンでは、「ユーザーのセキュリティとプライバシー、Webアプリケーションプラットフォームの強化、最良のWebユーザー体験の提供を主要テーマとし、引き続き、互換性を開発信条とする」と同氏はAjax Experienceで行った2回の講演で述べた。

 ウィルソン氏は、群衆の上を飛ぶ1匹の豚の絵を見せながら、「Microsoftは決してIEのスタンドアロンバージョンを出さない」との批判を皮肉った。「IE 7はリリースされ、豚は飛び立った」と同氏。

 もっとも、今回のカンファレンスが掲げるAjax(Asynchronous JavaScript and XML)については、「IE 7ではかなり大きな機能調整を行った。それにより、Ajaxを使った開発作業が楽しめるようになる。もはや嫌な作業ではなくなる」とも。

 ブラウザ言語の将来バージョンであるJavaScript 2に対するMicrosoftの展望について質問されたウィルソン氏は、人々がJavaScript 2のどの部分を重要視しているかにまだ耳を傾けたいとしながらも、「(Microsoftでは)再びJavaScriptに取り組んでいる。この技術は素晴らしいと思う。わたしたちはこれをなんとか社内で受け入れてもらうように努め、今では多くの人たちが取り組むまでになった。Microsoftでは珍しいケースだ」と語った。

 ウィルソン氏は、IE 7のリリースから最初の4日間でダウンロード本数は300万本に達し、しかも「これには自動更新分は含まれていないのだ」と語った。またWindowsベースのWebシェアの90%はWindows XPであるため、IE 7の導入は急伸するだろうと同氏は予測した。

 一方、Ajax Experienceで別の講演を行った、MozillaのCTO(最高技術責任者)でJavaScriptのクリエイターでもあるブレンダン・アイヒ氏は、MozillaがオープンソースブラウザFirefox 2をリリースしてわずか22時間で200万件のダウンロードがあったと報告した。

  IE 7は標準に準拠し、さまざまな問題がフィックスされているが、一部のIE 6対応ページが新バージョンで動作しない場合があるとして、ウィルソン氏はデベロッパーにページの修正を呼び掛けた。

 「皆さんのページをIE 7でテストして欲しい。標準の改善は振る舞いの変更を意味する。エンドユーザーは動作しないページを好まない。皆さんのIEコンポーネントが確実にオプトインと保護モードに対応するようにしてほしい。思い切って新しい機能を使い、今すぐRSS化し、OpenSearchを使って検索を強化し、そしてぜひわたしたちにフィードバックして欲しい」(同氏)

 IE 7ではWebデベロッパーを支援する多くの改善が加えられた、と同氏。Microsoftが最も重んじている対象の1つが「これで生計を立てている人々だ。当社は最も痛手の大きいバグをフィックスし、最もリクエストの多かった標準規格を付加した」と語った。

 実際、今回Microsoftは、XMLHttpRequestのネイティブサポートなど、これまでIEとWorld Wide Web Consortium(W3C)間に存在した幾つかの非互換性をフィックスしている。

 Ajaxに関連する問題の解決策として、MicrosoftはJavaScriptガベージコレクションのパフォーマンスを強化するとともに、一部の主要なメモリリークと、GZIPファイルのキャッシングをフィックスした。このほかにも、パーサーバグ、JScriptエンジン内のメモリリーク、オーバーフロービヘイビアバグなど200以上のCSSおよびレイアウトバグをフィックスしたとウィルソン氏は語った。

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