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ヒューストン氏、2007年は「パートナーとの共生を図る」

» 2006年11月06日 21時32分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは11月6日、同社の製品・サービスを展開するパートナー向けの総会「Microsoft Japan Partner Conference 2006」を開催した。ビジネスシーンでのITの利活用促進によるビジネスの変革をテーマに、パートナー企業との協業体制をさらに強化していくと発表した。

 冒頭、マイクロソフト代表執行役 社長のダレン・ヒューストン氏が挨拶に立った。ヒューストン氏は、2005年7月の就任時に発表した日本での施策「PLAN-J」の進捗状況について、「これまでの展開は、成功だと自負できるほどの内容」と述べた。

マイクロソフトのダレン・ヒューストン 代表執行役 社長 マイクロソフトのダレン・ヒューストン 代表執行役 社長

 特にモバイル市場でのキャリア、端末メーカーとの協業による「Windows Mobile」の普及や、.NET開発環境の拡大などを例に挙げ、「日本のパートナーとの提携から数多くの世界的なプロジェクトが立ち上がっている」と語った。2007年は、さらにこうした協業関係を拡大させる方針だ。

 一方で、日系企業のIT利活用度が欧米諸国と比べて低いといった課題点も指摘した。同氏は、「ITを活用したワークスタイルは、日本は欧米に比べ3〜5年ほど遅れている。マイクロソフトの責務として普及に取り組む」と述べた。

 同社では、多くの団塊世代が一斉退職する2007年問題や日本版SOX法対応、情報保護などに焦点を当て、ITによる企業人材の活力強化を図る「People Ready Business」コンセプトを掲げている。2007年のパートナー施策は、この観点を軸に3つの取り組みを展開する。

 ・パートナーとの協業モデル

 マイクロソフト製品導入企業とパートナー、マイクロソフトの3者がwin - win - winとなる競争力の高いビジネスを推進する。

 ・パートナーの期待に応える

 コミュニケーションやマーケティング、セキュリティ、サポートなど、パートナーから期待される7つの重点項目を強化する。

 ・テクノロジーによるワークスタイルの革新

 Windows VistaやOffice 2007を中核とした最新製品の導入促進により、パートナー企業にとってメリットあるビジネスモデルを創造する。

 最後にヒューストン氏は、「自身のデスクトップ環境に最新のVista、Officeを導入しているが、業務の効率化が図られて社員と過ごす時間が増えたことが大変にうれしい」と語った。

 続いて、米Microsoft 最高経営責任者のスティーブ・バルマー氏が登壇した。バルマー氏は、2007年以降のIT業界の展望について、高度な個々のテクノロジーの統合がさらに進むとの見解を示し、「例えばInternet Explorer 7は高度な検索技術とセキュリティ技術が融合した」と述べた。

米Microsoftのスティーブ・バルマー 最高経営責任者 米Microsoftのスティーブ・バルマー 最高経営責任者

 また、同氏はコミュニケーションビジネスへの2007年春以降の本格進出を表明した。「VoIPを中心にあらゆるユーザーの視点に立ったメッセージ、映像、音声が融合するサービスを、パートナー企業とともに日本から立ち上げたい」との意気込みを語った。

 パートナー企業との協業方針について、マイクロソフト 執行役専務の平井康文氏(エンタープライズビジネス担当)が説明を行った。平井氏は、「攻めの経営、ビジネスには社員の力が欠かせない」とし、リーダーシップ型人材の育成の重要性を述べた。

エンタープライズビジネス担当の平井康文 執行役専務 エンタープライズビジネス担当の平井康文 執行役専務

 people ready businessコンセプトについて、具体的には情報の獲得(または検索)と活用、共有までをプラットフォームとして提供することとしている。平井氏は、ITガバナンス、生産性を高めるIT基盤、サービス志向アーキテクチャ(SOA)のアプリケーション開発の3点を軸に、これらの統合環境であるEnterprise CAL Suiteを展開し、「people ready businessが実装され、顧客、パートナーの価値創造に寄与したい」と語った。

 マイクロソフト 業務執行役員の森上寿生氏(ゼネラルビジネス統括本部長)は、中小企業向け施策について説明を行った。ダイレクトメールや協業モデルの紹介、共催セミナーを軸としたマーケティング戦略の強化、中小企業のIT利活用支援策を導入する。

森上寿生 業務執行役員 ゼネラルビジネス統括本部長 森上寿生 業務執行役員 ゼネラルビジネス統括本部長

 森上氏によれば、「日本はブロードバンドサービスで世界の最先端にあるが、中小企業のIT利活用度は米国の半分程度。中南米の国家並みのレベルにとどまる」という。中小企業で経営にITを活用する施策として、同社では支店網の拡大やパートナー企業、団体共催のIT講習会の全国開催など4つの施策を新たに展開する。

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