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Dell、オンラインRPG「Second Life」の世界に進出

» 2006年11月15日 15時27分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Dellが仮想空間の中でビジネスチャンスを追いかけようとしている。

 11月14日、テキサス州ラウンドロックに拠点を置くDellは、サンフランシスコのLinden Labsが生み出した3D仮想世界「Second Life」に参加したと発表した。

 すでにIBMやSun Microsystemsをはじめとする複数のIT企業が、Second Life内で拠点を持つようになっており、今回のDellの取り組みはそうした企業を追随するものとなる。

 ここ数カ月の間に多くの企業がSecond Lifeの中で事業を興し、Reutersまでもが支局を開設した。

 Dellで上級副社長を務めるロウ・パッラ氏と、Linden Labsの最高経営責任者(CEO)であり設立者であるフィリップ・ローズデール氏は共同記者会見を開き、Second Lifeに関するDellの取り組みについて説明した。

 なおこの会見は、現実世界の中だけでなく、Second Life内のバーチャルアイランドでも行われてた。

 「人々が集まる場所にわれわれも身を置いていたい。今日では、Webが膨大な数の人々を集めるようになっている」(パッラ氏)

 Dellは、Second Lifeの中に仮想的な拠点を置くと同時に、同社の顧客がSecond Life内で購入、設定、組み立てをしたPCを、実際に自宅へ配送するサービスも始めるという。

 現実世界と仮想世界のビジネスを組み合わせて、PCの売り上げ実績を伸ばし、顧客との結びつきを深めるという考え方は、「Dell 2.0」と呼ばれるDellの新たなマーケティング計画に沿ったものだ。

 Dellが同計画を明らかにしたのは9月16日のことで、その背景には、同社に対する批判に応え、製品デザインおよびサービス、顧客対応の質を向上させる目的があった。

 同計画の一環として、DellはAMDプロセッサを搭載するデスクトップ、ノートブック、サーバの出荷台数を増やし、Intelベースの製品ラインの刷新も図ってきている。

 こうした戦略が功を奏しているのかどうかは、11月16日の第三四半期決算報告である程度見えてくるだろう。GartnerやIDCの調べによると、過去数週間における米国および世界双方の市場では、Dellが競合社のHewlett Packardに劣勢を強いられているという。

 同社の工場を見て回るバーチャルツアーを催すこと、PCを注文できる新たなプラットフォームを提供すること、顧客と関わっていくための一手段としてSecond Lifeをとらえていることを除き、Dellは仮想体験を通じて同社が何を目指しているのかをほとんど語っていない。

 IBMがSecond Lifeに参加し始めたとき、同社はこうした仮想世界を実現している技術に1000万ドルを投資すると発表していた。

 ユーザーがSecond Lifeで購入できるようになる最初のDell製PCは、11月14日にリリースされる「XPS 710」だという。

 XPS 710はゲームをプレイするのに適したデスクトップで、Intelの「Core 2 Extreme QX 6700」4コアプロセッサを搭載している。Intelは11月14日に、4コアチップの出荷準備は調ったと述べた。

 Second Lifeのユーザーは、アバターと呼ばれる分身をゲーム内で使用しており、このアバターにユーザーのDellコンピュータを使わせることができる。Dellは、ユーザーがSecond Lifeの中からインターネットに接続するためのスクリプティング言語を開発したと、ローゼンデール氏は話した。

 同氏は今回の記者会見で、Dellが仮想体験に関心を寄せるようになったことを歓迎すると発言している。

 「Dellの試みは非常にユニークで、コミュニティにとってもきわめて有益なものだ。同社の取り組みは、意義のある方向へ着実に進んで行っている」(ローズデール氏)

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