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» 2007年01月18日 14時36分 UPDATE

Web2.0と金融の接点――SBI北尾社長に聞く(前編):「10年前から予見していた」 Web2.0を顧客拡大の新手法に (1/2)

SBIの北尾社長は、検索をベースにした金融サービス構築を計画したり、新入社員に「ウェブ進化論」を読ませて感想文を書かせるなど、「Web2.0」と呼ばれる流れに積極的に関わろうとしている。Web2.0と金融業との接点はどこにあるのだろうか。北尾社長に聞いた。

[岡田有花,ITmedia]

 金融関連事業を手広く手掛けるSBIホールディングスが、「Web2.0」と呼ばれる流れに積極的に関わろうとしている。

 昨年11月には、検索をベースにした新しい金融サービスの構築計画を発表したほか、インターネット総合研究所(IRI)との経営統合計画(16日にいったん中止を決定)も明らかにした。その一方で、他社と協業してネット専業銀行や生命保険会社の設立を準備するなど、金融サービスのフルラインアップ化を進めている。

 グループを率いる北尾吉孝社長は昨年、新入社員に「ウェブ進化論」(梅田望夫著)を読ませて感想文を書かせ、自らすべてを採点。優秀作は冊子にして社内で配るなど、Webの進化に対する社員の意識も高めようと努める。

 母体となったソフトバンクとは昨年資本関係を解消したが、インターネットへの指向は変わらない。一見すると想像しにくい、Web2.0やそれに関わる技術と金融業との接点はどこにあるのだろうか。北尾社長に聞いた。

Web2.0は「新しくない」

――北尾社長はWeb2.0をどう定義してるのか、また、それは金融業とどう関係するのか。

画像 北尾社長

 Web2.0にはいろいろな定義があるが、ぼくは「Webを通して提供される次世代のオンラインサービス」と、簡単に定義している。

 Web2.0の要素として「誰でも情報発信できる時代になった」とか「集合知が共有化された」という概念がある。これはインターネットが進化する中での必然。ぼくは10年ぐらい前からこの世界の登場を予見していた。

 ぼくはソフトバンクで、「ジオシティーズ」(個人サイト作成サービス)を運営する会社をやっていた。ジオシティーズは、ユーザーが趣味ごとにコミュニティーを作り、コミュニティーリーダーがいて……と、今で言うSNSみたいなものだった。そういった経験から、インターネットでは、発信者から受信者に一方向に情報提供するだけでなく、受信者・発信者の区別なく双方で情報発信される時代が来ると思っていた。

 近年インターネットがそういう方向に急速に広がり出した。アメリカでもMyspace.comやYouTubeのように、双方向で情報発信するサイトが急速に伸びている。あるいはGoogleのように、サーチエンジンを主体としながら、今までのポータルの世界を打破するような新しい仕組みができてきている。日本でもmixiやGREEが登場してきた。ブログもいろんなところで使われるようになっている。

ネット証券はロングテールそのもの

 ネットビジネスは本質的には全部ロングテールだ。例えばネットの証券業は、ネットの持っている爆発的な価格破壊力を使って商売している。今まで100だった手数料を、2とか1にまで下げたのだから。ネット証券のお客さんには、野村証券では相手にしないような、1株だけ買いたい、というような人がたくさん含まれている。

 野村証券は、店を構え、セールスマンを雇い、大変なコストをかけているから、効率的営業を志向しなくてはならない。同じ時間がかかって片方は1万株、片方は1株なら、後者はコストに合わない。だから野村のセールスマンは高額所得者名簿や土地売却者名簿を使って金持ちを探す。

 ところがイー・トレード証券のようなネット証券は、金持ちを探す必要がない。1株買うお金があれば誰でも結構。しかもコミッションが安いから、どんどんお客さんが増えていく。今までお客さんにならなかった「ロングテール」が、お客さんになっていく。高い客でも安い客でも、広くあまねく太くて無限大。これがイー・トレードの考え方だ。

 Web1.0の時代から、インターネットの持っている価格破壊力がお客さんの数をどんどんとひきつけている。Web2.0かどうかは関係なく、ネットの本質としてそういうものだ。

証券業のネット化は時代の必然

――ネット証券は、各社ともユーザー数拡大幅が昨年から伸び悩んでいるが。

 今イー・トレードには130万以上の口座があるが、相場のいい時は増えるし、悪い時は減るというだけ。トレンドとしては今度も増えていく。

 イー・トレードのお客さんには20代、30代の人が多い。リアルの証券会社は50代以上が多い。10年、20年経ったら、野村証券の70代のお客さんはもう株式投資をやめているかもしれない。一方、20代の人が30代になり、30代の人が40代になり、お金持ちになって、1株買っていたた人が10株、100株買う。従って取引量は必ずネットがどんどん増えていく。

 いったんイー・トレードのお客さんになり、安い手数料になじんだ人が、将来、12〜13倍のコミッションを払って、野村証券に行くかというと、行かないでしょう?

 だから野村証券が、ジョインベスト証券(手数料を安価に抑えたネット専業証券)という会社を作ったのはある意味象徴的なこと。ネットは、必然的に時代の進化の方向なのだから、変えようと思ってもこれは無理だ。

Web2.0でどうもうける?

――Web2.0の代表と言われるブログやSNSなどは広告以外に目立った収益源がなく、「Web2.0はもうからない」と言われている

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