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» 2007年04月20日 12時59分 UPDATE

YouTubeへの“輸出”も――ひろゆき氏が語る「ニコニコ動画」の今 (1/2)

「ニコニコ動画」がクローズドサービスにも関わらず大人気だ。ニコニコで生まれたコンテンツがYouTubeに“輸出”されたり、「動画アンケート」「動画雑談」が行われたりと新しい文化も生まれている。運営は「赤字垂れ流し」だが、ビジネスの芽も見え始めた。

[岡田有花,ITmedia]

 動画にコメントを付けられるニワンゴのサービス「ニコニコ動画」γ版が、ユーザー限定のクローズドサービスにも関わらず人気を集めている。1日あたりのページビューは約2000万に上り、動画の累計再生数は2億に迫っている。

画像 ニコニコ動画

 動画の内容やコミュニケーションの形も進化している。複数の動画を組み合わせた“マッシュアップ”が一般化してきたほか、面白いコメント付き動画がYouTubeに“輸出”されたり、動画とコメントを使ったアンケートが行われたり――ニコニコ動画がなければありえなかったコンテンツが、続々と生まれている。

 2月まで公開していた「β版」は、YouTubeを中心とした外部の動画配信を利用し、誰でもアクセスできるオープンサイトとして運営していたが、YouTubeからのアクセスしゃ断を受けて2月末に閉鎖。3月に公開した「γ版」は独自の動画配信サイト「SMILEVIDEO」を構築してYouTubeの利用をやめ、クローズドサービスとして運営している。

 独自の動画サーバやインフラを確保したため、年間の運営コストは「年末ジャンボ宝くじレベル」に跳ね上がったが、有料配信など新たなビジネスモデルの可能性を模索中。携帯向けサービスも準備している。

 ニワンゴ取締役兼管理人の西村博之氏に、ニコニコ動画のこれまでとこれからを聞いた。

なぜアクセスしゃ断されたかは「分からない」

――β版が2月末にYouTubeからのアクセスしゃ断を受けた時の感想は。

画像 ひろゆき氏

 当初、YouTubeから拒絶されているかどうかがいまいち分からなかったんです。Internet Explorerだと見られないけどFirefoxだと見える、といったような微妙な状況で、こちら側のシステム不具合なのかもしれないと思っていました。

 でもだんだん、「どうやら嫌われているようだ」と分かってきました。YouTubeに「一緒にやりましょう」という内容のメールも送ったけれど、音沙汰がないという状況で、「多分嫌われているのだろう」と。

――なぜ嫌われたのだと思いますか。

 YouTubeの「Most Viewed」(その日最も視聴された動画)のトップ10のうち8つが、ニコニコ動画経由でアクセスを集めた日本のアニメだったからとか、さまざまな説がありましたが、本当の理由は分かりません。問い合わせても返事がありませんし。

――YouTubeの利用をやめ、独自動画サービスを展開しようと決めたのはなぜですか。

 β版運営中に「YouTubeに切られたらどうしよう」という話はしていました。その場合は閉鎖してしまうか、自前で動画サイトを持って続けるか、(国内動画配信サイトの)「フォト蔵」「AmebaVision」に頼り切るか、という3つの選択肢がありました。

 ただ当時からフォト蔵とAmebaVisionにはかなりの負荷がかかっていて、AmebaVisionから「いったんアクセスを止めて欲しい」と言われたこともありました。だからこの2サイトに頼り切ると、共倒れになるだろうと考えました。

 ただ、自前で動画サイトを持った場合の年間投資額を試算すると、ドリームジャンボ宝くじくらいになります。それでも自前で持とうと思ったのは「面白そう」とかそんな理由かな。売り上げもドリームジャンボ宝くじぐらいになればいいんですけど……。

 できるならYouTubeをまた使いたいと思っています。コストがかからないから、いつでも提携ウェルカムです(笑)。γ版もオープンサービスにはしたいんですが、コストの問題でできてない。そのコストを肩代わりしてくれるYouTubeさんをぼくらは敬愛してやみません(笑)。

1週間でスピード再開できた理由

――独自の動画サイト「SMILEVIDEO」を構築し、γ版を公開するまでは約1週間と早かったですね。

 YouTubeから切られて、同時期にDDoS攻撃を受けて閉鎖が決まり、会議を開きました。その時、たまたまスタッフに、個人で動画サービスを作っている人がいたことが分かって、じゃあそれでいこう、と。その人はYouTube知らなかった、という微妙な衝撃もあったんですが(笑)。サーバは3営業日くらいあれば無理矢理なんとかなりそうということで、閉鎖の1週間後に再開することになりました。

 再開時にタグなど新機能を付加しましたが、これは以前から準備していました。リニューアルオープンする時に何か機能ぐらい増えてないと。「動画が減りました」だけでは微妙かな、と。

 ニワンゴのスタッフやサーバ会社の人は、再開に向けて頑張ってくれたと思います。ぼくは実質的なところはタッチしてないから「頑張れー」と思いながら家でゲームしてました。すみません。

――β版は誰でも利用できるオープンサービスでしたが、γ版をユーザー限定のクローズドサービスとして再開したのはなぜですか。

 再開して、一斉に100万人が来てしまったりすると、誰も動画が見られなくなってしまいます。何をしていいか分からない場になって、ユーザーが離れてしまうのは避けたかったので、クローズドで負荷を抑えながら徐々に開いていっています。

――なぜβ版の次がγ版だったのでしょう。

 α、β、というほどのものでもないから次かな、みたいな。「αサービス」って言うと作りかけ感がある。βと言うと、mixiが正式サービスなのにβでやっていて、そこまでのクオリティにも達してない気がして、次のγにしてみました。

「図式が変わった」――YouTubeへの“輸出”も

――γ版になって変わったことはありますか?

 図式が変わってきたなと感じることがあります。オリジナルがニコニコ動画に投稿された後、面白いものはYouTubeに“輸出”されるようになりました。「トレス疑惑」という動画が面白くて最近気に入っているのですが、まずニコニコ動画にアップされた後、YouTubeに投稿されました。

 動画を作る人は「誰かに見てもらいたい」とか「反応が欲しい」という思いがあると思いますが、YouTubeだとあまりコメントがもらえない。だからまず、ニコニコにアップして反応を見て、それが面白いと思った人がYouTubeにアップしているようです。そういう意味ではニコニコも、サービスとしての価値がちゃんと存在しているんだなぁと。

 職人さんの技術力も上がってきました。ゲームの動画をうまく切り貼りして、関係ない音声と組み合わせるとか、「すげーな」と思うような技術を持つ人がいます。そういう人が仕事になるレベルで活躍できる仕組みを作ることができればな、と思っています。

 例えば、海上自衛隊が戦隊もの風のCFを作って最近話題になりましたが、それよりかっこいいCFを個人で作ってる人がいる、と2ちゃんねるに書いてあって、その動画をYouTubeで見ました。すごい技術力でした。自衛隊のCFは公共入札で、10社のコンペだったらしいんです。公共入札なら誰でも入札できるはずだから、来年はニコニコで募集して応募してみようかな、というひそかな野望があります。

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