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カラスはやっぱり賢い 「脳地図」作成で明らかに

» 2007年05月11日 21時56分 公開
[ITmedia]
photo カラスの脳地図の一部=ニュースリリースより

 カラスはやはり賢い──カラスの脳を詳細に調べた「脳地図」の作成に慶応義塾大学のグループが世界で初めて成功した。カラスは知性が高いとされてきたが、賢いことが科学的にも実証できたという。

 脳地図は、脳の切断面を使って各部位の位置を示すもので、「3次元の地図帳のようなもの」。カラスの脳地図を作成したのは同大の渡辺茂教授と伊澤栄一准教授のグループ。脳をマイナス20度で凍結させ、スライスして染色液を使って染め、神経細胞の集団を区分していく。これを1ミリずつについて行い、地図帳を作成した。

 道にクルミを置き、自動車に踏みつけさせて割り、中身をゲット──さまざまな行動が観察され、優れた知的能力を持つとされているカラス。体重に対する脳の重さの比率がサル並みに大きいことは知られていたが、脳地図の作成で本当に賢いことが分かったという。

 脳地図によると、カラスの脳は思考や学習、感情をつかさどる大脳が極めて大きい。大脳の中でも「巣外套」「高外套」といわれる知的活動に関係する部分が大きく、よく発達しているという。

 巣外套や高外套は、人間を含むほ乳類の大脳皮質で視覚や聴覚などの複数の情報が交わる「連合野」と呼ばれる部分に相当すると考えられており、複雑な情報処理を可能にしているようだという。

 カラスの脳地図は、14日からWebサイトで公開する。

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