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天井の明かりが送信機に 「可視光通信」をJEITAが規格化

» 2007年06月27日 20時42分 公開
[ITmedia]
photo 東芝製LED照明を使った可視光通信のデモ

 電子情報技術産業協会(JEITA)は6月27日、可視光を使ったデータ通信技術を規格化したと発表した。照明用LED(発光ダイオード)による光を使って携帯端末などに情報を送れるのが特徴。端末と組み合わせた位置情報サービスなどの用途を想定している。

 規格化した「可視光通信システム」(CP-1221)では、可視光の波長380ナノ〜780ナノメートルを使用。光の強さを特定の周波数で振動させ、送信したいデータで変調することで、レシーバーに情報を伝える。

 光を使った通信自体は原理的には難しくなく、赤外線LEDを使ったリモコンやデータ通信は従来から普及している。可視光による通信の場合、メリットを十分にいかすためにも照明器具との一体化が望ましい。

 制御が容易な可視光LEDの性能が向上し、白熱灯や蛍光灯に代わる照明として製品化されるケースも増えてきた。JEITA可視光通信標準化プロジェクトグループリーダの春山真一郎氏(中川研究所)は「照明はいずれLEDに代わっていく。何も努力しなくてもインフラができる」と可視光通信システムの将来性に期待する。

 照明器具は天井に取り付けるため、送信機としても理想的な位置になる上、光の方向をコントロールできるので、送信したい場所やものを特定するのも容易。光っているのが分かるため、セキュリティ上は電波や赤外線などに比べれば安全だという。電波法の規制がないのもメリットだ。

photo 4値PPMでは、1フレームに4つのスロットがあり、1スロットで振動(光の強弱を変化)させることで、1フレームで2ビットを表現できる。完全オフ・完全オンの組み合わせなどで、照明効率と通信効率が変わってくる

 同時に規格化した「可視光IDシステム」(CP-1222)は、ID情報を送信する可視光通信について標準化した。搬送周波数は28.8KHzで通信速度は4.8Kbps。変調方式は、発光効率と通信効率のバランスを取った「サブキャリア4値PPM」を採用した。

 用途としては、食料品売り場で、各コーナーの照明ごとに異なるIDを送信し、IDをトリガーにして携帯端末内の動画や音声、情報を再生して商品情報を知らせる──といった用途や、美術館などの公共施設のガイドサービスなどを想定している。

 現状ではLED照明器具が高価なのがネックで、LED照明のコストダウンが普及のカギになりそうだ。また今後は周波数を高めて通信速度を高速化したシステムも検討していく。

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