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» 2007年07月24日 14時22分 UPDATE

livedoorメールにGmail採用 「黒字化へ最後の一押し」

「livedoorメール」のシステムが8月中旬から、Gmailに移行する。サーバ費用や運営、サポートもGoogle持ち。ライブドアはメールのコストを削り、ポータル事業黒字化への「最後の一押し」にする。

[岡田有花,ITmedia]

 ライブドアは7月24日、無料のWebメールサービス「livedoorメール」で8月中旬から、Gmailのシステムを採用すると発表した。livedoor IDによる認証システム、メールアドレス、ロゴのみ同社のものを残し、サーバの提供から運用、サポートまでGoogleが担当。ユーザーインタフェースもGmailとほぼ同じになる。

 「Webメールはコストがかかるが収益化できない。だが一度始めた以上、やめるわけにもいかない」――Gmail採用の最大の理由は、無料で利用できるというコストメリットだ。背景には、直近の黒字化を目指している同社の台所事情がある。

「ギガメーラー」で容量競争の口火を切ったが……

 「livedoorメール」の前身である「livedoorギガメーラー」のオープンは2004年7月。Googleが1Gバイトのメールサービスを発表して世間を騒がせた3カ月後に、国内で初めて1Gバイトのメールボックスを無料で利用できるWebメールとして登場した(関連記事参照)

画像 田端氏(左)と池邉CTO

 堀江貴文元社長のもとで、次々に新サービスを投入していた当時。サービスインのスピードを重視し、設計とシステム開発は外部に委託した。サーバは自社のものを利用し、運用も内部で行っているが、システム自体はいまもアウトソーシングしている。

 同社の池邉智洋CTO(最高技術責任者)によると、メールサービスは「規模感のわりにはコストがかかる」もの。livedoorメールの月額コストは「数千万円の前の方」(同社執行役員の田端信太郎氏)で、オープン以来赤字だ。自社のデータセンターを使っているとはいえ、200万ユーザー(累計登録数)分のサーバ費用は小さくない。加えて、スパムフィルター対応やユーザーサポートにも手が取られる。

 バナー広告やメールマガジン広告による収入もあるが、コストをカバーし切れない。加えて、2年前作ったシステムのままでは今後スケールできなくなってくるだろう――という不安もあり、サービスのリニューアルは必須だった。

Gmailは「使ったことがあったから安心」

 ただ一から開発し直すのは高コストな上、スパムフィルターなど蓄積がものを言う機能がどうしても弱くなってしまう。かといってやめる訳にはいかないため、アウトソーシング先を見直すことに。候補はいくつかあったが、「自分でも使ったことがあり、スケール面でも安心な」(池邊CTO)Gmailに決めた。

 Gmailならサーバからサポートまで無料で利用できる上、ライブドアとのID連携機能も容易に構築可能だ。「公開仕様のSAML(Security Assertion Markup Language)に対応しているから、ID連携も当社が開発でき、相手先が作業し終わるのを待つ必要もない」(池邊CTO)

 Gmailは検索性も高く、スパムフィルターが強力。1人当たりの容量も2Gバイトと従来の2倍に拡大でき、ユーザーメリットが大きい。「livedoorブログにアドレスをさらしても、強力なフィルターがスパムをはじいてくれるため、ブログユーザーがこれまで以上にメールを使ってくれるのでは」(田端氏)

 同社は以前から検索にGoogleを採用しているほか、今年に入って、ニュースやブログにAdSenseを表示するなど、Googleサービスとの連携を強めてきた。「Google経由の広告収入が、全体の3分の1程度にまで増えている」(田端氏)――すでに深い関係にあるGoogleのGmail採用に至ったのは自然な流れだった。

 Googleにとってのメリットは、広告収入とユーザー層の拡大だ。新livedoorメールに表示したAdSense広告からの収入はGoogleに入るほか、200万IDを持つメールユーザーが流入することで、Google検索ユーザーのすそ野を広げるのに役立つ。

 「ギガメーラーが出た当時、各社ともWebメールで容量競争をしたが、あれはチキンレースだった。Webメールは、負担の割にはビジネスとしておいしくない。かといって一度始めた以上、その責任は当然、投げ出すことはできない。Gmailが大手ポータルに採用されるのは初めてらしいが、今後、当社のようにGmailを採用する会社も増えてくるのではないか」(田端氏)

移行は「ユーザー手作業」 アドレス整理も

 新livedoorメールは、認証など“入り口”だけをlivedoorが担当し、それ以外はGoogleが提供するGmailと共通のシステムを利用する。ログイン時にlivedoor IDとパスワードを入力し、ユーザー画面にlivedoorメールのロゴが表示される以外は、見た目も機能もGmailと同じだ。

 メールアドレスは、従来の「livedoorID@(サブドメイン).livedoor.com」からサブドメインが取れ、「livedoorID@livedoor.com」に変わる。旧アドレスに来たメールは新アドレスに転送される。

 既存のlivedoorメールユーザーで、過去のメールを新システムに移行したい場合は、POPで公開されたログを新システムで吸い出す作業が必要。この作業をしてもらうことで、200万あるアカウントからアクティブユーザーのみが移ってくれ、メールアドレスなどの整理もできると見ている。

黒字化への「一押し」

 ネット専業の事業会社としてこの4月に再出発した同社(関連記事参照)。事業の整理・再編を続けており、「ポータル事業はあと一押しで黒字化する」(田端氏)というところまで来た。livedoorメールのGmail化は、強力な「一押し」になるという。

 「実は、以前のライブドアでは他社と協業すること自体が考えにくかった」(田端氏)。堀江元社長のころの同社には、「何でも自社でやってしまおう」という勢いがあった。「まじめに『世界一を目指す』と言っていて、誇大妄想的な部分もあったが、いまは総取りしてしまおうというのではなく、他社との提携にも積極的になった」(田端氏)

 今では例えば、ニュースコンテンツをYahoo!JAPANに配信したり、ブックマークを相互に乗り入れるなど、堀江元社長が敵対視していたヤフーとも密接に協業している。今後も、他社との提携を含めて事業の整理・再編を進め、RSSリーダーやブログサービスなど、強い部分に注力していく。

関連キーワード

Gmail | ライブドア | Google | Webメール


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