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オールアバウト、“ちょいワル”子会社化で富裕層モテ強化

» 2007年07月25日 19時48分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 オールアバウトは7月25日、雑誌「LEON」の前編集長・岸田一郎氏が社長を務めるKI&Companyを子会社化すると発表した。富裕層向けの広告ビジネスやコンテンツ強化にKI&Companyのノウハウを生かす。

画像 オールアバウトの江幡哲也社長(左)、KI&Companyの岸田一郎社長

 8月下旬にKI&Companyが行う第三者割当増資引き受けて子会社化する予定。取得株式数などは今後協議して決める。

 KI&Companyは、岸田社長が昨年9月1日に設立した企業で、富裕層向けWebマガジン「@zino」(アットジーノ)を運営し、紙媒体として月刊誌「zino」(ジーノ)も発行している。@zinoの会員は約6000人で、そのうち半数は年収1000万円以上という。zinoの発行部数は8万部。

 オールアバウトは従来から、マネー誌「あるじゃん」の事業をリクルートから取得したり、趣味雑誌などを発行するニ(えい)出版社と共同でコンテンツを制作するなど、他社の資産を生かしたコンテンツ強化を進めてきた。KI&Company子会社化もその一環で、富裕層向けの広告ビジネスやコンテンツ強化のノウハウを取り込んでいく。

「ネットは大変」と岸田氏

 「会社を立ち上げたものの、@zinoの運営が大変で」――「ちょいワル」で一世を風靡したカリスマ編集長・岸田社長はこぼす。オールアバウトの江幡哲也社長は「サイトに良いコンテンツを掲載しただけでは、ユーザーは集まらない。独自の検索システムなど、読者が良いコンテンツに出会うための仕組みが必要だ。われわれにはそのノウハウがある」と、@zino強化にも意欲を見せた。

 岸田社長は「オールアバウトは単なる検索ポータルではく、自社制作コンテンツも多い。出版社に近いイメージで、最大の理解者」と評価。「KI&Companyは既に雑誌とネットの2つの媒体を持っているが、将来的にはテレビなども含めたクロスメディア企業を目指している。設立時に描いた目標は高く、それを達成するためには経営基盤を強化する必要がある」と、出資を受け入れた背景を説明した。

 「今後オールアバウトのノウハウを生かし、@zinoでeコマースなどもやっていきたいと考えている。zinoや@zinoにはないオリジナルコンテンツをオールアバウトに提供する、ということもあり得ると思う」(岸田社長)

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