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「後がなかった」たむらぱん、マイスペースからメジャーデビュー第1号になるまで(2/2 ページ)

» 2007年09月21日 14時03分 公開
[宮本真希,ITmedia]
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ライブの観客、急増

 マイスペースを始めるまでに発売した2枚のアルバムの売り上げは、それぞれ400枚ほどだった。3月にネット限定アルバム「ハロウ」を発売すると、予約開始から3週間で初回プレス分1000枚を完売。1000枚を追加プレスした。

 「インディーズ活動を始めて1番うれしかった出来事。こんなに自分の曲を聴いてくれる人がいるなんて、と驚いた」


画像 アルバム「ハロウ」。生産分を完売したため、販売を終了している
画像 ハロウのCD表面にもイラストが

 「ハロウ」が売れたことで、過去の2枚のアルバムも在庫切れになった。タワーレコードなどのCDショップでは、インディーズの売り上げランキング上位に入るほどだった。

 マイスペースを通じてたむらぱんを知ったユーザーがライブに来てくれるようになり、観客動員数も急増。4月に行ったライブには客が100人集まった。6月には人生初のワンマンライブも実現し、300人のファンが集まった。

 ライブでは、マイスペースがきっかけでファンになったというユーザーが「頑張って」と励ましてくれた。雰囲気も「なんとなく変わり始めた」という。「始めはお客さんがいっぱい来てくれてうれしいというよりは、本当に私を見に来たのかと疑ってた。味方が増えたと思ってうれしかった」

 「欲も出てきた。これまでは楽曲を作ることに一生懸命だったけど、ライブでどうやったらお客さんが楽しんでくれるか考えるようになった。メジャーデビューを目指して頑張ってきたけど、マイスペースを始めてから、良いビジョンに向かい始めた気がした」

デビューシングル、ネットで配信

 コロムビアミュージックエンタテインメントの土門義隆事業推進室長は「ネットで話題になっている変な名前のアーティストがいる」と聞き、たむらぱんのライブに出かけた。

 「ライブを聞いて『これはいい』と思い、その場で名刺を渡した。マイスペースがなければたむらぱんには気づかなかったと思う」(土門さん)。たむらぱんはコロムビアの新レーベル「ロビンワークス」からのメジャーデビューが決まった。

 ロビンワークスは今年9月、新人アーティストに活動の場を提供することをコンセプトに設立した。シングル曲を毎月ネットで配信し、ダウンロード数などを参考にしてCDアルバムを制作・販売する。ネット配信ならCD制作より低コスト。制作からリリースまでの期間も短縮できるため、継続的に楽曲を公開できるという。

 10月10日からたむらぱんの「責めないデイ」を無料配信、「ヘイヨーメイヨー」を210円で配信する。「iTunes Store」や「Mora」など音楽配信サイトでダウンロードできる。

 たむらぱん自身は音楽ダウンロード未体験。「iTunes Storeのページを眺めて『便利そうだな』と思ったが、ネットで買い物をするのってちゃんとお金が払えているか不安。でもネットに詳しくない人にも音楽を聞いてもらうためにも、まず自分から音楽ダウンロードに挑戦しないと」

マイスペースで「生活が180度ちょっと変わった」

 9月に初めて自分でノートPCを購入し、外出先でもブログを書くように。タイピングも上達し、6〜8時間かかっていた作業が3〜4時間でできるようになった。

 「自分の曲を聴いてもらう場がなくて、どうしたらいいか分からない人は、ネットを使った方がいいと思う。でも、やるからには自分でそのページに責任を持たないといけないし、手をかけて聞く人に伝わるページにしないといけない」

 「マイスペースを始めて、生活が180度ちょっと超えるくらい変わった。今後もマイスペースを使って他ユーザに曲を聴いてもらえるようメッセージを送ったり、ブログを続けたい」

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