欧州第一審裁判所は先日、独禁法違反で罰金の支払いを命じられたMicrosoftの不服申し立てを退けたが、Adobe Systemsにとって、これ以上のタイミングは望めなかった。
米ボストンで開かれたデベロッパー・デザイナー向けFlash技術カンファレンス「Flashforward」で9月19日、Adobeのプロダクトマネジャーが、今後登場予定の「Adobe Media Player」技術の一端を披露した。Microsoftに対するEU裁定が公平な競争の場を提供することを意図していたのは、まさにこうした技術にだった。
Adobeのデベロッパー関係担当首席プロダクトマネジャー、マイク・チェンバース氏は、同社がAdobe Integrated Runtime(AIR)技術の宣伝のため実施しているバスツアーのプレゼンテーションを行い、18都市をめぐる「Adobeオンエア・バスツアー」のビデオコンテンツを披露した。ツアーは既に14都市を経由している。チェンバース氏がこのコンテンツの再生に使ったのが、AIRベースのAdobe Media Playerだった。
市場調査会社の推計によると、世界でインストールされたメディア再生ソフトのシェアは、Microsoftが首位に立ち、RealNetworksがこれに続き、Appleが追い上げている。この市場にAdobeが参入すれば、Flash人気を利用して浮上するのは確実だ。
しかも同社は、Adobe Media Playerのエコシステムの一員となる可能性があるパートナーとも関係を確立済みだ。
Adobeは4月、ラスベガスで開かれた全米放送事業者協会(NAB)のカンファレンスでメディア再生ソフト提供の計画を発表。この中で、Adobe Media Playerのβ版を今秋リリースし、2008年第1四半期にはAdobeおよび幅広いメディアパートナーと技術パートナーから正式版をリリースする見通しだと述べていた。
Adobe主催のユーザーカンファレンス「Adobe Max」は、9月30日から10月1日までシカゴで開かれ、Adobe Media Playerに関するさらに詳しい内容が公開される見通しだ。
Adobe Media Playerはダウンロードサイズが軽量で、視聴する側、コンテンツを提供する側の両方にとって革新的なものとなる。視聴する側にとっては、高品質のFlash形式で再生ができ、ビデオをダウンロードしてオフラインで再生したり、面白い新番組を見つけたり、フルスクリーンでの再生、ワンクリックの視聴者レーティング、人気テレビ番組やビデオの新しい回を自動的にダウンロードしてくれる「お気に入り」機能などが提供されると、AdobeはNABの発表で説明している。
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