ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

初のAdobe Media Player、β版間もなく公開

» 2007年09月21日 17時59分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 欧州第一審裁判所は先日、独禁法違反で罰金の支払いを命じられたMicrosoftの不服申し立てを退けたが、Adobe Systemsにとって、これ以上のタイミングは望めなかった。

 米ボストンで開かれたデベロッパー・デザイナー向けFlash技術カンファレンス「Flashforward」で9月19日、Adobeのプロダクトマネジャーが、今後登場予定の「Adobe Media Player」技術の一端を披露した。Microsoftに対するEU裁定が公平な競争の場を提供することを意図していたのは、まさにこうした技術にだった。

 Adobeのデベロッパー関係担当首席プロダクトマネジャー、マイク・チェンバース氏は、同社がAdobe Integrated Runtime(AIR)技術の宣伝のため実施しているバスツアーのプレゼンテーションを行い、18都市をめぐる「Adobeオンエア・バスツアー」のビデオコンテンツを披露した。ツアーは既に14都市を経由している。チェンバース氏がこのコンテンツの再生に使ったのが、AIRベースのAdobe Media Playerだった。

 市場調査会社の推計によると、世界でインストールされたメディア再生ソフトのシェアは、Microsoftが首位に立ち、RealNetworksがこれに続き、Appleが追い上げている。この市場にAdobeが参入すれば、Flash人気を利用して浮上するのは確実だ。

 しかも同社は、Adobe Media Playerのエコシステムの一員となる可能性があるパートナーとも関係を確立済みだ。

 Adobeは4月、ラスベガスで開かれた全米放送事業者協会(NAB)のカンファレンスでメディア再生ソフト提供の計画を発表。この中で、Adobe Media Playerのβ版を今秋リリースし、2008年第1四半期にはAdobeおよび幅広いメディアパートナーと技術パートナーから正式版をリリースする見通しだと述べていた。

 Adobe主催のユーザーカンファレンス「Adobe Max」は、9月30日から10月1日までシカゴで開かれ、Adobe Media Playerに関するさらに詳しい内容が公開される見通しだ。

 Adobe Media Playerはダウンロードサイズが軽量で、視聴する側、コンテンツを提供する側の両方にとって革新的なものとなる。視聴する側にとっては、高品質のFlash形式で再生ができ、ビデオをダウンロードしてオフラインで再生したり、面白い新番組を見つけたり、フルスクリーンでの再生、ワンクリックの視聴者レーティング、人気テレビ番組やビデオの新しい回を自動的にダウンロードしてくれる「お気に入り」機能などが提供されると、AdobeはNABの発表で説明している。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.