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» 2007年10月01日 18時21分 UPDATE

朝日・日経・読売が提携 「ネット活用で紙の新聞を維持」

朝日・日経・読売の3社が提携し、来年1月に共同のニュースサイトをオープンする。「ネットを活用して紙の新聞を維持する」のが狙いといい、3社は新聞販売でも提携した。

[岡田有花,ITmedia]
画像 左から朝日新聞社の秋山耿太郎社長、日本経済新聞社の杉田亮毅社長、読売新聞グループ本社の内山斉社長

 朝日新聞社、日本経済新聞社、読売新聞グループ本社は10月1日、ネット上での共同事業や新聞販売などについて業務提携すると発表した。3社のニュースを横断的に読めるポータルサイトを、来年1月にオープンする計画だ。

 「ネットを活用して紙の新聞を断固、維持していきたい」(朝日新聞の秋山耿太郎社長)――3社の社長は同日、都内でそろって会見。共同でネット対応を進めながら、紙の新聞を守り、発展させていきたいと強調した。

産経、毎日の新サイトと同日発表

 新聞の発行部数が減る中、全国紙がネット事業に積極的になっている。産経新聞社は10月1日、マイクロソフト(MS)提携して「MSN産経ニュース」をスタート。毎日新聞社も同日、MSと手を切って独自サイト「毎日jp」を開始した。MSN産経はスクープも紙よりWebに先に出すという「ウェブファースト」を掲げ(関連記事参照)、毎日jpは、外部ブロガーや他社が提供するコンテンツを取り入れたのが特徴だ(関連記事参照)

 日経、朝日、読売の共同ネット事業は、来年1月に開始する予定。「各社の主要記事や社説を読み比べられるサービス」「3社のニュースを共同で発信するサービス」というコンセプトで「各社の記事を幅広い読者に批評してもらえるサービスにしたい」と朝日の秋山社長は話すが、詳細については「各社の専門家や若い人で集まってこれから決める」(秋山社長)という。

 3社のニュースを集めた新サイトは「作ることになるだろう」(日経の杉田亮社長)とし、内容は「3社それぞれのサイトから記事を一部を引用し、クリックすれば各サイトの該当記事にアクセスできる」という誘導ポータルを想定している。「各社サイトのページビューが増え、単独でも広告収益が得られる仕組みにしたい」(杉田社長)

 ニュースポータルやRSSなどで、新聞各社のニュースを横断的に読むことができる仕組みはネット上で既に充実している。3社のニュースに限定したポータルを今提供しても、ユーザーに歓迎されるかどうかは未知数だ。

 「ネットメディアにおける新聞社の影響力を高めたい」――3社協同ネット事業の狙いについて、朝日の秋山社長はこう説明する。「ネット上のニュースの多くはYahoo!JAPANやGoogleを通じて読まれており、新聞社の存在感は薄いかもしれないが、それらのニュースも新聞記者が書いたものが圧倒的に多い。3社共同のネット事業を通じて、ネット上での新聞社の役割の大きさを、いま一度多くの人に知ってもらえれば」

読売は「Yahoo!配信続ける」

 事業は民法上の組合を設立して運営する計画。3社が計数億円を負担して設立する。広告から収益を得るモデルを想定しているが、有料サービスも視野に入れる。

 「特別に重要な情報があれば有料で、という可能性もあるだろうが、まずは無料でやっていく。いきなり黒字化は難しいだろうが、3年ぐらいで採算が取れるよう努力したい」(日経の杉田社長)

 ネット事業てこ入れに当たって、産経新聞はMSやチームラボ、毎日新聞はAll Aboutなどネット企業の協力を得てきたが、3社のサイトは独自で構築予定で、外部ネット企業の協力などは「今の段階ではない」(杉田社長)という。ただ、他新聞媒体との提携は「すぐにはないが、趣旨に賛同してもらえるなら検討したい」(杉田社長)とした。

 各社が個別に展開しているネット事業戦略は変更しない。読売新聞は3社の新ポータル構築後も、Yahoo!などへの記事配信を続ける。

「販売網強化のため」専売店の相互乗り入れも

 3社は新聞販売事業でも提携した。各社の専売店で他社の新聞も扱える相互乗り入れを、過疎地などを中心に行っていく。新聞販売店の整理・統合に向けた動きとも見えるが「あくまで新聞配達網の維持・強化に向けた取り組み」と、読売の内山斉社長は強調する。

 読売と朝日は従来から、山間やへき地など全国12カ所の新聞販売で協力してきた。「異なる場所にある販売店に新聞を融通し合い、より多くの人に新聞を届けられる。単純にお互いの販売店を整理・統合するというのではない」(秋山社長)

 ただ「10年、20年後を考えると、販売網を維持できない事態が起こりうる」(内山社長)とし、今回の提携が販売店の整理・統合につながる可能性も示唆した。

災害時の連携も

 災害時のシステム障害などに備え、紙面制作や印刷の代行、輸送支援などについて相互援助することも決めた。来年3月までに正式協定を結ぶ。内山社長「新聞社は装置産業。工場がないと発行できない。システムの共用化で、コストダウンを図りたい」

「IT化と紙の新聞は矛盾しない」

 「新聞がネットに負けるのでは、と世界中で言われているが、ネットでニュースを配信しているのは圧倒的に新聞社。ITを活用することと、新聞を伸ばすことは矛盾しない」と杉田社長は強調する。

 「ネットを通じた購読申し込みも増えており、ネットのニュースを見た読者が、さらに詳細な情報を知りたいと購読するケースもある」(内山社長)

 各社が発信したニュースがネットで横断的に見られる今、紙の新聞という媒体そのものの存在価値に疑問符が付くこともある。「紙の新聞をやめてネットだけにするなどと簡単に割り切れれば経営は楽かもしれないが、そうはいかない。Webに大部分をシフトしたNew York Timesでさえ紙の新聞を捨てていない」(杉田社長)

 紙の新聞のネットにない良さは、一覧性だという。「ネットの平板な露出で構わない人もいるだろうが、新聞は一覧性などでネットより優れている。新聞は最も信頼性のあるメディア。今後もそうあり続け、社会の公器としての役割を果たしていきたい」(杉田社長)

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