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韓国の検索連動広告最大手が日本進出 トランスコスモスと提携

» 2007年10月02日 22時02分 公開
[ITmedia]

 トランスコスモスは10月2日、韓国の検索連動型広告最大手eMnet(イーエムネット)と提携すると発表した。韓国では検索連動型広告がネット広告市場の半分以上を占めているのが特徴。特に中小企業や個人事業主による利用が進んでおり、eMnetの顧客も中小事業者が多くを占めている。トランスコスモスは韓国事業の強化に加え、eMnetのノウハウを「ロングテール」向けのマーケティングなどに活用したい考えだ。

 eMnetはこのほど日本支社を設立し、営業活動を開始した。「日本は中小事業者による検索連動型広告の利用が遅れている」と見て、韓国で培ったノウハウを活用して日本市場への食い込みを図っていく。

photo eMnetのキム社長(右)とトランスコスモスの久保海外事業本部長

 eMnetは2000年4月、韓国の大手紙・中央日報で広告やニュースサイト「Joins.com」などに携わったキム・ヨンウォン社長が創業した。韓国で検索シェアの7割を占めるNaverや、Daum、Overture、Yahoo!など主要ポータルと代理店契約を結んで検索連動広告を手掛け、2006年の売上高は約410億ウォン(約49億円)。

 同年の韓国のネット広告市場約8900億ウォン(約1068億円)のうち、検索連動型広告は約4892億ウォン(約587億円)と約55%を占めている。eMnetの検索型連動広告市場でシェア8.4%を占める最大手。売り上げベースでは2位企業をダブルスコアで突き放しているという。

 トランスコスモスは、eMnetが実施する第三者割当増資を引き受け、eMnet株式の35%を取得(額は非公開)するほか、業務提携も結んだ。ネット広告のクリエイティブ制作から効果測定、Webサイト構築まで幅広く提供するマーケティングサービスを韓国市場で展開するほか、eMnetのノウハウを日本国内のビジネスにも活用していく。

顧客数の9割が個人事業者でも利益を出すノウハウ

 韓国ではネット広告に占める検索連動型広告の割合が高く、米国も約4割を占めるが、日本は25%程度にとどまっている。その理由を、eMnetのキム社長は「日本では中小事業者による検索連動型広告の利用が遅れているため」と分析する。

 大手企業は利幅が小さい少額クライアントを敬遠しがち。ところがeMnetは顧客数の86%を個人事業者が占め、月間の広告費別では300万ウォン(約36万円)未満の個人事業者が20%、1000万ウォン(約120万円)未満の中小企業が69%と、中小規模事業者が合計9割に達している。

 トランスコスモスの久保雄一朗海外事業本部長は「日本の大手ではまず赤字のはず」と驚くが、eMnet日本支社長を兼任するオウ・スンジン副社長は「中小規模事業者が顧客の大半を占めていても利益が出るノウハウを持っている」と実績をアピールする。

 「ピザ屋やレストランも、ちらしなどで広告をしている。これをネットでやっていこうと教えていく」(キム社長)。同種の企業が乱立する中、顧客のWebサイト構築などまでまとめて手掛けるなどして信頼を勝ちえてきたという。キム社長は「日本市場は面白い。われわれが韓国で今の事業を始めた時と同じだ。市場の広さは確信している」と話し、今後、日本でも中小規模事業者による検索連動型広告の利用が進むと見る。

 日本ではOverture、Googleと契約し、まずはWebサイトを持ってはいるが広告は出していない事業者にアプローチをかけていく。現在は10人ほどの営業人員を強化し、来年から本格的に営業展開を始める考え。

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