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新生DTIは「ドリーム」 料金はシンプルに、新サービス「Dream HUB」公開

» 2007年10月24日 21時28分 公開
[ITmedia]

 ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は10月24日、シンプルな料金プランの導入やドメイン変更、ユニークな「ユビキタスサービス」の導入を柱とした新サービス方針を発表した。親会社が次々に変わる漂流の末、12年前の立ち上げ時から同社の顔を務めたフリービットの石田宏樹社長に“大政奉還”された同社。「これまでの『トレイン』ではなく、『ドリーム』にフォーカス」とロゴも一新し、“今度こそ”の再始動を印象づける。

photo 「dream.jp」にアクセスするとこの画面。通常のサービスメニューなどはタブで切り替えるようにした

 11月以降、現在20種類以上ある料金プランとオプションサービスを統合し、「シンプルプラン」を導入。FTTH、ADSLを各2プランとして分かりやすい料金体系にする。

 FTTHは集合住宅向けで月額3129円〜と「業界最安レベル」(同社)とし、戸建ては6248円〜。「Bフレッツ」(NTT東西)と「ひかりone」(KDDI)の2プランとなる。

 ADSLは月額1785円〜とし、「フレッツ・ADSL」(NTT東西)と、もう1事業者の計2プラン。現在はフレッツのほか、イー・アクセスとアッカ・ネットワークスのサービスを提供しているが、今後はどちらか1社に絞り込む。

 さらにMVNO方式によるワイヤレスサービスも行う。イー・アクセスとイー・モバイルが発足した「MVNOコンソーシアム」に参加し、イー・モバイルのHSDPA網を活用してサービスを行う。料金などは調整中としている。

 現在のサービス用ドメインは「dti.ne.jp」だが、順次「dream.jp」に切り替える予定。ただ、既存ドメインとメールアドレスはそのまま利用できるようにするという。

Dream HUB

 新ドメインで運用する第1弾として、25日に「Dream HUB」を公開する。「ユビキタスサービスを簡単に使ってもらえるように」と開発した「ユビキタスポータル」で、トップページはサービスをシンプルに配置したデザイン。接続会員は無料で利用でき、非会員にも月額210円で提供する。

 サービスは(1)Webメール「MyMail」、(2)個人向けVPN「U+link」、(3)1クリックでVoIPによるサポート質問が可能な「Hotline」、(4)リンク先の画面キャプチャをリアルタイム取得するWeb検索サービス「MySearch」、(5)Webブラウザからアクセスできるストレージサービス「MyStorage」──で構成する。

photophoto MyMailでは、メール文中に書かれた住所にGoogleマップへのリンクを埋め込む機能も。MySearchはYahoo!Search APIを活用しており、検索結果に表示したリンク先Webページのリアルタイムキャプチャを表示

 MyMailは、フリービットがISP向けに提供しているWebメールサービスをDTI専用にバージョンアップ。Ajax(Asynchronous JavaScript+XML)を活用し、Webブラウザから3ペイン式インタフェースで利用できるほか、WiiやiPod touch、携帯電話などでの利用にも対応。「Wiiなどにネイティブ対応するWebメールサービスは初めてでは」(石田社長)という。

 VPNサービスのU+linkは、Webをクリックして専用ソフトをインストールするだけで利用でき、3台までのPCで仮想ネットワークを構築し、LAN上のPCと同様にファイルのやり取りや機器のネットワーク共有などが可能になる。

 今後、フリービットが開発した「Emotion Link Semantiq Node API」を活用した新サービスも追加していく。同APIは、U+linkで使っている「EmotionLink」をベースとし、PCを安全にサーバ化してネット上に公開できるようにする技術。API化したため、他社が公開しているAPIを活用したマッシュアップが可能だ。IPv6で動作するが、専用プロキシーを介してIPv4サービスとも連携できるようにしている。

 例えば「自宅PCのGoogle Desktop Searchに携帯電話からアクセスし、自宅PC内を検索してファイルを取り出す」「Google Maps APIとPC内の写真や動画を組み合わせ、自分専用の旅行サイトを作る」といったことが可能になるという。「個人のPCリソースをマッシュアップに参加させる」という発想だ。

 同APIを活用した新サービスを、年内にもDream HUBを通じて提供していく予定。APIの技術仕様も公開する。

「トレイン」より「ドリーム」にフォーカス

photo 新生DTIの戦略を発表する石田社長

 DTIは8月末、東京電力から株式を買い取る形でフリービットが子会社化。フリービットの石田社長はDTI立ち上げ時から深く関わってきたことで知られる。石田社長はDTI社長も兼任。ISP向けのインフラを提供してきたB2B企業のフリービットが、会員約40万人を抱えてB2C分野に本格参入することになった。

 DTIを離れた石田社長が創業したフリービットは今年3月に東証マザーズに新規上場。7カ月たった24日のフリービット株価は131万円(前日比4万円高)と、公開価格の4倍に達し、直近に公開したネット銘柄としては群を抜く。売上高100億円を掲げた経営計画をDTI買収効果で1年前倒しで実現するなど、市場の期待は高い。

 一方、DTIは先進的なISPというイメージで知られてきたが、石田社長が同社を離れ、さらに旧東京通信ネットワークと提携した2002年以降は資本関係の変更が相次ぎ、その中でサービスも目立たない、中堅ISPの1つになっていた。

 石田社長によると、現在は「応急処置」の段階。「久しぶりにB2Cに来たら、プランが複雑で私でもよく分からなかった」という料金プランをシンプルにする改革を打ち出したが、「ISPが接続プランで差別化できる時代は終わった」とも話す。

 「ISPではなく『ユビキタスプロバイダ』」──新生DTIの変化をアピールするのはDream HUBだ。「ISPのISP」として、ソニー「コクーン」のネットサービスなどを開発してきたフリービットの技術を注ぎ込み、「圧倒的な技術力で差別化を実現していく」と意気込む。

photo 新ロゴを披露する石田社長

 Dream HUBと同時に公開する新ロゴは、初代ロゴと同じデザイナーに依頼。「従来は『トレイン』をイメージしていたが、これからは『ドリーム』にフォーカス」と刷新し、「DTI」の下に新ドメイン「dream.jp」も表示して「ドリーム」を強調した。

 今後、買収などでISP会員を100万人を拡大し、「ISPの第3勢力」構築を目指していく。

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