今やApple株の空売りを推奨するアナリストは極めて少ない。同社の四半期PC販売が好調に推移し、過去最高を記録したという10月22日の発表に驚いたアナリストもまれだった。
しかし、AppleのPC販売のペースを予想できたアナリストはほとんどいなかった。
2007年第3四半期のAppleのMac販売台数は216万4000台と前年同期に比べ40万台増加し、伸び率は業界平均の8倍に達した。その結果、同社は米国第3位のPCメーカーに浮上した。Mac OS Xの最新版「Leopard」の発売が遅れたことで、買い控えの動きも出ていたにもかかわらずだ。
さらに驚くべきことに、この販売台数の半数以上は、Macの新規購入者が購入したものだった。このことは、「Macの販売がほかのPCの8倍のペースで伸びているのはなぜか」という疑問を呼び起こす。
AppleのPC販売は同社の周辺機器に支えられていると、一部の業界観測筋や関係者は考えている。大人気を呼んでいるAppleのiPodとiPhoneが、Windowsファンだった人々をAppleブランドとMacintosh PCに引きつけているというわけだ。
「Mac販売の急成長の主な原動力は、『ハロー効果』だ」とGartnerのリサーチ担当副社長バン・ベーカー氏は語る。「主にApple Storeでこの効果が発揮されている」と同氏は付け加える。「iPodを買いに来た消費者が、MacBook Proも目に留めてチェックし始めるといった具合だ」
第3四半期はiPodとiPhoneの販売も好調で、前者は前年同期比17%の販売増となり、後者は販売台数が111万9000台に達した。
「AppleはPC市場で躍進を続けており、iPodやiPhoneを目当てにApple Storeに足を運ぶ人もますます増えている」とCreative Strategiesのティム・バハリン社長も語る。
「だが、Macを初めて買う人がその購入者の50%を占めていることは、さらに大きな意味を持つ」とバハリン氏。「このことが示しているのは、Macは競合OSよりも使いやすいシステムと評価されており、ますます多くの人が、Macによって快適なパーソナルコンピュータ環境が手に入ると考えているということだ」
「第3四半期の数字は目覚ましいものであり、技術とマーケティングに関する的確な意思決定の結果として、AppleがPC市場でより強力な勢力になろうとしていることを示している」とバハリン氏は付け加える。
バハリン氏は、Leopardの発売延期は、当初はコンピュータ販売の鈍化を招いたかもしれないが、Appleが10月中旬に発売日を発表したことで相殺されたと語る。
「Macの販売がLeopardの発売スケジュールの影響で変動したのは確かだ」と同氏。「だが、LeopardがMac販売の最大のけん引役になるということはないと思う。Leopardは重要な技術的マイルストーンだが、人々がMacに高い関心を示しているのは、その使いやすさと、iPodおよびiPhoneのハロー効果のおかげだ」
「Appleが発表した見通しからみて、彼らはクリスマス商戦で素晴らしい成果を上げるだろう」(同氏)
Technology Business Research(TBR)のアナリスト、エズラ・ゴッタイル氏も、Mac以外の製品がAppleの業績を押し上げていると見ている。
「AppleのiPod事業は利益を生み出し続けている」と同氏。「革新的なiPod touchは2007年第3四半期の締め日の前日まで発売されなかったが、iPodの販売に影響はなかったようだ。iPodの販売台数は前年同期より17%増え、売上高は4%増にとどまったが、これは最近の四半期と同様の傾向だ。TBRは、高価なiPodメディアプレーヤーの市場は成熟しており、Appleは、より利益率が高いと見られる安価なモデルの販売比率が高いことで恩恵を受けていると考えている。iPod touchは異なる市場に向けた異なるタイプの製品であり、TBRはこの製品が2007年第4四半期に成功を収めると見ている。
またゴッタイル氏は、iPhoneの販売も好調で、Appleの値下げの発表で弾みがついたと指摘する。製品の性格上、Appleの業績へのiPhoneの影響については、別の見方をしなければならないという。
「AppleはiPhoneの売り上げを、購入者の携帯キャリアとの契約期間である2年間にわたって計上しているため、2007年第3四半期の売り上げは1億1800万ドルにとどまった。しかし、これは継続的に保証されている売り上げだ」
ゴッタイル氏は、iPhoneは、Appleに強力なハロー効果をもたらす製品だと語る。
「TBRは、iPhoneはAppleにとって利益を生む製品であり、Appleブランドを多くの新規顧客に紹介する役割を果たすと考えている」と同氏。「2007年第3四半期のiPhoneの販売台数110万台が、Macの販売台数の5割以上に当たることは注目される」
Forrester Researchのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は、AppleのiPhone事業を分析し、その結果に満足している。
「非常に好調な販売状況だと思う」と同氏。「まだ欧州では発売されていないことを考えると、2008年末までに1000万台という販売目標は、計画通りに、あるいは前倒しで達成されそうだ」
しかしゴルビン氏は、iPodやiPhoneのハロー効果についてはやや慎重な見方を示している。
「消費者調査の結果があるわけではないので、実際のところはよく分からない」とゴルビン氏。「わたしが思うに、iPodとiTunesを通じて多くのWindowsユーザーがApple製品を体験し、好印象を持った。そして、Macの利点を賞賛するレビューや、(影響度はより小さいが)Intelプロセッサへの移行やBoot Camp、VMware、Parallelsのようなプログラムによって、Macに乗り換えてもWindowsと縁を切らずに済むようになったことが相まって、消費者はMacに対して以前よりもずっと好意的になっているのだろう」
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