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1コアで102GFLOPS NEC「SX-9」発表

» 2007年10月25日 20時59分 公開
[ITmedia]
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 NECは10月25日、ベクトル型スーパーコンピュータの新製品「SX-9」を発表した。1コアで102.4GFLOPSの新CPUを搭載し、最大512ノード時で最大839TFLOPSと、ベクトル型の世界最速を更新した。年間200億円の売り上げを見込む。

 国内メーカー唯一のベクトル型スーパーコンピュータ「SX」シリーズの最新機種。65ナノメートルプロセスによる新ベクトルプロセッサは、単一コアとしては世界で初めて100GFLOPSを超え、1チップで前機種「SX-8」の1ノード(8CPU)に匹敵する性能を備える。

 メモリバンド幅は256Gバイト/秒に広帯域化。16CPUによる1ノード時で1Tバイトの共有メモリを搭載でき、総メモリバンド幅は4Tバイト/秒に達する。

 1ノード時の最大性能は1.6TFLOPS。SX-8の13ノードに当たり、設置面積と消費電力の削減につながる上、複数ノード時に必要な並列化が不要になるメリットもある。複数ノード時は最大128Gバイト/秒の超高速インターコネクトで接続し、最大512ノードまで対応可能だ。

photo CPUモジュール

 スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」では、多数の汎用プロセッサを使った米IBMなどのスカラー型が上位を占めている。だがNECは「ピーク性能を誇示するようなスカラー勢とは一線を画す」(丸山好一常務)という立場だ。

 実際に多数のCPUを束ねたスカラー型で大規模計算を行う場合、プログラムの並列化とチューンアップに手間がかかり、研究者の負担になっている。ベクトル型ならではの実効性能の高さといかし、「使いやすさと性能をバランス良く提供する」(丸山常務)のがSXの方針だ。

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 販売価格は、レンタル月額で298万円から。今後3年間で世界700システムの販売を見込み、100ノード超の商談もあるという。

 10P(ペタ)FLOPSを目指す国家プロジェクト「京速計算機」はベクトルとスカラーのハイブリッド。理化学研究所とNEC、日立、富士通が構築に参加し、NECはベクトル部分を担当。成果の商用展開が奨励されており、京速計算機の成果は将来のSXシリーズにいかされる予定だ。

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