「腐女子」という言葉が、徐々に一般化してきた。腐女子とは、女性のオタク――特に「やおい」「ボーイズラブ」(BL)と呼ばれる、男性同士の恋愛を扱った小説や漫画を好む女性を指す。
テレビや一般紙が腐女子を特集するなどし、腐女子の存在は一般にも知られてきた。だが彼女たちの実態は、あまり知られていない。なぜ腐女子になったのか、BLのどこに萌えているのか、普段はどんな生活をしているのか、男性オタクとはどう違うのか。
これらを解明するため、腐女子を自称する5人に集まってもらい、池袋のカラオケボックスで緊急座談会を開催した。集まってくれた5人は全く「ヲタ臭」を感じさせず、身なりもおしゃれ。見た目からは腐女子と全く分からないのだが――
――自己紹介をお願いします。
A: 某上場企業でOLをやっている30代前半です。最近ハマっているのは「仮面ライダー 電王」。好みのタイプは「金色のコルダ」の土浦梁太郎、「遙かなる時空の中で3」の梶原景時、「ときめきメモリアルGirl's Side」の氷室先生です。
B: 私は20代後半、フリーターです。「おおきく振りかぶって」の阿部隆也くん、「アンジェリーク」のクラヴィス。あと、金色のコルダの月森蓮にハマって、そこからその声優だった谷山紀章さんのファンになりました。
C: もうすぐ23歳になります。私もフリーター。中3のときに声優の関俊彦さんのファンになって、そこから広がっていった感じです。好きなのは「電王」と「ここはグリーン・ウッド」、「最遊記」。ネオロマ(ネオロマンスシリーズ。「アンジェリーク」「遙かなる時空の中で」などコーエーの女性向け恋愛ゲームの総称)だとアンジェリークのルヴァ様ですね。
D: 私は20代後半。Aさんの高校のときの部活の後輩です。ハマっているのはアニメ「今日からマ王!」です。もともとは原作のライトノベル「今日からマのつく自由業!」が好きで、それでアニメ化されたものを見たら、好きなキャラの声優をやっていた森川智之さんにハマって、現在に至ります。で、森川さんが出てるというので、BL(ボーイズラブ)を初めて聞きました。森川さんがBLで有名なせいで、CD聞いたし、ゲームもやったし、マンガも読んだし、ノベルも読んだし。
B: Dさんはすごいんです。森川さんが「今日からマ王!」でやっている役名がコンラッドというのですが、それでわざわざ汐留のコンラッド東京に2回泊まりに行ったんですよ。
――え? 無関係ですよね?
D: まあそうなんですけど……。自分にごほうび、ということで。
B: でも1泊3万円くらいするんでしょ。そこにエステプランとかついてたらそういう言い訳も立つけど、何にもないってのが痛いよね(笑)。
――3万円はなかなかの出費ですよね……。ではEさんお願いします。
E: はい。私は23歳でアニメーション関係の仕事に就いてます。Bとは小学校からの友達です。私は声優の石田彰さんのファンなので、好きなキャラは「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のアスランや「新世紀エヴァンゲリオン」の渚カヲルとかかな。「遙かなる時空の中で」のキャラだと安倍泰明。
――好きなアニメやゲームを経由して、最終的には声優ファンに行き着くんですか?
A: そうですね。で、好きな声優が出ているアニメを見るようになって、今度はそのアニメの中で別の登場人物が気に入って、そのキャラの声優さんが出ているアニメを探して……。
B: 気づいたらディープなオタクになると(笑)。
A: 最終的には、ドキュメンタリー番組を見ていても、「あ、このナレーションは声優の誰々だ」と分かるように(笑)。
――腐女子になったきっかけは何でしたか?
C: 関(俊彦)さんがこの世界(BL)の仕事を始めたので。
E: 声優さんに付いて来たというのは私も同じです。初めてBLモノを聞いた時は、ぶっちゃけ引きましたけど(笑)。
A: 私は高河ゆんの「源氏」ですね。実家の近所にアニメイトがあって、きれいな絵だなあと買ったらそれでした。そこから入ってしまいました。
B: 私は昔から続きが気になるタイプなんです。それで、大好きだった「魔神英雄伝ワタル」の最終回の後に、本屋に行ったら続きが出ていたんですよね。読んでみたらそれ、同人誌のアンソロジーで(笑)。で、今に至ると。
D: 私は「アニメディア」というアニメ雑誌でワタルのオンリーイベント(ジャンルを限定した同人誌イベント)があることを知って、そこで同人誌を買ったのが始まりですね。自分で描くようになったのはマンガの「封神演義」から。
A: 好きなものを書いてくれる同人作家がいないから、自分で描くようになるんだよね。
D: そうそう。
――根本的な質問で恐縮なのですが、なぜ男性×男性の組み合わせがよいのでしょうか?
B: 見たことがないからかな。
A: 友達に「男女の恋愛はダメだけど、BLならOK」って人がいるよ。
――え!? なぜですか?
A: 生々しいのがダメなんだって。BLは異次元のものだから大丈夫なんだって。
B: ファンタジー、ファンタジー。
E: 男性の友達が「BLは絶対受け付けない」って言ってたけど、最近「マリア様がみてる」を見て、BLも大丈夫だと思うようになったって言ってた。
D: え、なんで「マリみて」?
E: 「マリみて」を見て、「BLって結局少女マンガなんだなと思ったのでイヤじゃなくなった」と。
――でもそれならなぜ男性×男性なのでしょう?
B: 男同士でも友情があるシチュエーションがいいんです。「こいつら、できてんじゃねーの?」みたいなスレスレの感じ。戦争物とか、命を賭けてる場でコンビを組んで、濃い絆を結ぶじゃない? 男と女なら第一印象で悪くなかったらそれなりの仲になれるじゃん。
A: 「そいつじゃなきゃだめなんだ」ってのが大事。「好きになったのがたまたま男性だった」というのがいいんだよね。
D: 言えてるかもしれない。人間 対 人間なんですよね。
――性的な部分は含まれてないということですか?
B: そういうシーンはなくてもいい。
D: うん。
A: え? なくていい?(笑)
B: じゃあ、人それぞれということで(笑)。
――ヤマジュン系(山川純一:男性向けのゲイ漫画家)はどうですか?
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