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ブラックホールの内部構造をスパコンで解明

» 2008年01月17日 17時02分 公開
[ITmedia]
画像 超弦理論が予測するブラックホールの内部構造を表す概念図

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)と理化学研究所はこのほど、素粒子の究極理論とされる「超弦理論」(超ひも理論)をスーパーコンピュータでシミュレーションし、ブラックホール内部の様子を明らかにした、と発表した。

 英国のスティーブン・ホーキング博士が提唱した「ブラックホールは光などを放出しながら少しずつ小さくなる」という現象を、超弦理論を使った計算で確認した。計算には主に、日立製作所製「SR11000モデル K1」を利用した。


画像 SR11000モデル K1

 超弦理論で素粒子を表す「弦」の振動を、周波数に応じて計算する手法を新たに確立。ブラックホール内部で弦がランダムに揺らいでいる状態のエネルギーを計算したところ、温度が下がるにつれ、ホーキング博士が提唱したモデルに近づいた。

 超弦理論は、一般相対性理論を素粒子のスケールまで拡張する理論として20年以上前に提唱されたが、計算の難しさなどから有用性が明らかになっていなかった。

 今回の研究成果は、ホーキング博士が提唱したブラックホールの「蒸発」現象の解明や、宇宙の起源の解明などにつながるとしている。

 研究成果は米国の科学誌「Physical Review Letters」のオンライン版に1月15日掲載された。

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