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欧州委員、ミュージシャンの著作権保護延長を提案

» 2008年02月15日 12時21分 公開
[ITmedia]

 音楽演奏者への著作権保護を50年から95年に延長することを欧州委員会の委員が2月14日に提言した。

 欧州では作曲家の著作権保護期間は死後70年だが、演奏者は録音から50年となっている。50年間では生きている間に保護期間が切れることが多いと、同委員会の域内市場委員チャーリー・マクレビー氏は指摘している。「楽曲に生命を吹き込むのは演奏者だ。ほとんどの人はお気に入りの曲を誰が書いたか知らないが、演奏者の名前はだいたい分かる」

 マクレビー氏は録音物の著作権保護期間を95年間に延長する案を正式に提出する意向で、欧州委員会で2008年夏の休会までに採択の準備ができるはずだとしている。

 このまま何もしなければ、向こう10年で、数千人の欧州の演奏者が50年代、60年代後半に録音した楽曲のロイヤルティーを得られなくなると同氏は主張する。「ここで言っているのはクリフ・リチャードのような主演アーティストのことではない。録音物に貢献した名もなき多数のセッションミュージシャンのことだ」

 同氏は保護期間延長でアーティストが恩恵を受けられるよう、レーベルがセッションミュージシャンのための基金を設け、延長された保護期間のロイヤルティー収入の20%以上をミュージシャンに分配するために確保することを提案している。主演アーティストは、前払いのギャラの分が差し引かれることなく、延長期間の間すべてのロイヤルティーを受け取るという。また、レーベルが延長期間中に楽曲の再リリースを渋った場合に、演奏者がほかのレーベルに移れる条項も盛り込む。

 この提案は、消費者向けの価格と欧州域外との貿易収支に悪影響を及ぼさないとマクレビー氏は述べている。

 また欧州委員会はこの日、私的複製補償金に関する調査も開始した。利害関係者に現状報告や現行制度についての意見提出を求めている。4月18日まで募集し、6月に公開公聴会を開くという。

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