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» 2008年02月22日 17時34分 UPDATE

裸の男子の汗をふき、「ヘブン顔」を勝ち取れ――バンダイナムコ「乙女ゲー」開発秘話 (1/2)

裸の男子の汗を、タッチペンで優しくふき取ったり、シャワーを浴びる男子に息をふきかけ、湯気を飛ばしたり――バンダイナムコゲームスが、同社初の「オリジナル乙女ゲー」を投入する。

[西川留美,ITmedia]
画像 (C)2007 NBGI Character Design 中条比紗也/花とゆめ

 「裸の男子の汗を、タッチペンで優しくふき取る」「シャワーを浴びる男子に息をふきかけ、湯気を飛ばす」――そんなゲームが登場する。バンダイナムコゲームスが満を持して投入する初のオリジナル乙女ゲーム。ニンテンドーDS用「DUEL LOVE 恋する乙女は勝利の女神」だ。

 乙女ゲームは、プレイヤーが男性キャラクターと恋愛するゲームの総称で、市場は年々拡大しているといわれている。中でも「遙(はる)かなる時空(とき)の中で」「アンジェリーク」シリーズを展開するコーエーや、「ときめきメモリアル Girl's side」シリーズのコナミなどが有力メーカー。バンダイナムコがオリジナルタイトルで進出するのは初めてだ。

 開発した20代の女性社員は言う。男性から何度も、同じ質問を受けたと。「これ……面白いの?」

度肝を抜いた「汗ふきゲーム」

 DUEL LOVEは、汗と涙と恋と、そしてたくさんの萌え要素が含まれた、熱い恋愛アドベンチャーゲームだ。高校生女子の主人公(プレイヤー)が、格闘技をたしなむ男子たちの「セコンド」になり、彼らを応援していく。


画像 マップ上で移動先を選び、出会った人たちと会話しながらゲームを進める
画像 男子を「セコンド」として応援し、親密になっていく
画像

 挿入されているミニゲームが、昨年の「東京ゲームショウ」でも話題をさらった。プレイヤーがタッチペンを使って男子の汗を拭いてあげるというゲーム。今までになかった乙女要素を散りばめたことが、来場者の度肝を抜いたのである。

 男性読者にとっては、このゲームの魅力は不可解極まりないことだろう。実際このゲームは、誕生するまでに何度も男性から同じ質問を受けていた。「これ……面白いの?」

参加者は、言葉を失った。

 同社CSカンパニーの岡香織さん。バンダイ(当時)に入社したのは6年前だ。当時から家庭用ゲーム開発を志望し、週刊少年ジャンプの漫画をベースにした「銀魂 銀さんと一緒! ボクのかぶき町日記」(プレイステーション 2)などのソフトの開発に携わってきた。

画像 岡さん

 同社には女性開発者は少なく、岡さんは「いつか女性に遊んでもらえるゲームが作れたら」とひそかな野望を抱いていたという。大の少年マンガファンでライトな腐女子でもある岡さん。「そんなゲームを作れたら、ついでに自分も遊びたいなって思ってたんですよね」

 転機は突然やってきた。入社3年目。企画の新人によるプレゼン会が開かれることになったのだ。女性開発者は岡さんのみ。彼女は思った。乙女ゲームには市場が必ずある。ここでみんなに注目してもらいたい――

 岡さんは「DUEL LOVE」の原型となる企画案を発表する。PS2向け乙女ゲームで、内容は学園モノだが、当時「K-1」などがブームだったこともあり、「男同士を戦わせてみよう」と格闘ゲームの要素も盛り込んだ。キャラクターは「オリジナルでやる」と言い切った。

 しかし、プレゼン会場の参加者たちは皆、言葉を失った。

 同社の企画は既成キャラクターを使うゲームが多く、その中であえてオリジナルを出したことも珍しかったのだが、そもそも乙女ゲームはバンダイが手がけたことのないジャンル。マーケットが読めなかった。

 さらにはその場にいたのが男性ばかりで、何が女性に受けるのかも分からない状況。「この子は何を言ってるんだろう、という扱いでしたね」と岡さんは苦笑する。

 結局その場で判断できず、もう一度プレゼンの場が与えられることになり、3カ月後に試作を披露することに。3カ月間で企画を練り直し、さらに目を引く機能を試作して、提案しなくてはならなくなった。

「……もう、好きにやってみればいいじゃない」

画像 ミニゲーム「あせふき」

 3カ月間の試行錯誤の中で、ハードをPS2からDSに変更。まだDSが女性の間で普及していないころだったが、操作性が合っていると感じてDSを選んだ。そして、DSのタッチパネルを使って「男子の体の汗をふく」というミニゲームを試作することにした。

 さらにオリジナルキャラクターを作るため、ターゲット層に近い読者を持つ白泉社に企画書を持ち込み、編集部に足しげく通って協力をお願いした。その結果、少女コミック誌「花とゆめ」で「花ざかりの君たちへ」などの作品を持つ中条比紗也さんに、キャラクターデザインを手がけてもらえると決まった。

 岡さんはこうした成果をひっさげ、再プレゼンに挑んだ。

 汗ふきゲームを含むそのプレゼン中。「……もう、好きにやってみればいいじゃない」と半ば力ずくだが、GOサインが出たのだった。

 こうして「DUEL LOVE」は誕生することになる。

キャラに魅力がなければ、汗をふいてもつまらない

 しかし岡さんは悩んだ。「市場は必ずある。だからこそ、ターゲットである女性たちに注目されるものを作らなければ」。そればかり考えていた。

 ただの恋愛モノでは「また新しいものが出たな」という程度で忘れられてしまう。どうしたらよいのか。社内にノウハウがあるわけでもないため、シナリオ、キャラクター、アニメーション、機能、システムなどの構想に1年を要した。

 岡さんは、キャラクターとシナリオにこだわることにした。

 乙女ゲームは一般的に、システムは単純だ。しかし、そのぶん登場キャラクターとシナリオの魅力が必須。「キャラに惹きつけられるところがなければ、汗を拭いてもつまらない」というわけだ。

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