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見えてきたAMDの45nmプロセッサ

» 2008年03月05日 16時36分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米AMDの初の45nm(ナノメートル)プロセッサが視界に入ってきた。

 独ハノーバーで開催の2008 CeBITカンファレンスで、AMDは3月4日、4ソケットサーバを含む多数のシステムで45nmクアッドコアプロセッサをデモした。このプロセッサのサーバ版のコードネームは「Shanghai」、デスクトップ版のコードネームは「Deneb」だ。

 同社幹部はCeBITで積極的に新プロセッサの話をしているが、ロジックテクノロジー部門のマネジャー、ビル・エン氏は具体的なリリース日を明らかにしなかった。現時点では、同氏はShanghaiとDenebの投入時期を2008年後半としている。

 2007年のクアッドコアOpteron(コードネーム「Barcelona」)リリースの際に起きた問題を避けるため、AMDは正式な立ち上げのかなり前にOEMパートナーに新プロセッサのテストサンプルを渡すようにしている。

 Barcelonaは予想以上に投入が遅れた上、一部製品のトランスレーションルックアサイドバッファに設計上のバグがあり、L2からL3キャッシュへのデータ転送に問題が起きた。OEMに早めにサンプルを渡すことで、AMDは問題があれば本格生産に入る前に発見したい考えだ。

 「サンプル出荷中のプロセッサで(Microsoftの)Windowsをブートし、ベンチマークとストレステストを行っている」とエン氏は語った。「Barcelonaには幾つか課題があった。今やろうとしているのは、ワーキングサンプルが既に存在すること、すべてのピースを正しく配していること、取り入れた強化機能が正しく動作していることを強調することだ。プロセッサはパートナーの手元に届いており、当社は彼らと連絡を取り、彼らの結果を確認している」

 45nm製造プロセスへの切り替えは、IntelやAMDなどの半導体メーカーにとってメリットがある。65nmプロセスよりも1枚のウエハーで作れるチップの数が増え、コスト削減と生産性向上に役立つ。

 アナリストは、ほかにもメリットがあると考えている。

 「45nmの最大のメリットは、AMDが従来よりも小型で高速で省電力なプロセッサを作れるようになる点にある」とInsight 64のアナリスト、ネイサン・ブルックウッド氏は言う。「Intelは2007年第4四半期に45nmプロセスに移行し、AMDは約9カ月遅れでそれに続こうとしている。AMDはかつて、Intelに18カ月遅れていた。その差を縮めることができたのだ」

 またAMDは45nmプロセスへの移行で、CPUとGPUを同じシリコン片に統合するという目標に近づく。同社はこのプロジェクトを「Fusion」と呼んでいたが、今は「Accelerated Processing Unit」構想としている。

 「45nmプロセスでCPUを小型化することで、ダイ上にGPUを載せる余裕ができ、シリコンレベルでCPUとGPUの統合が可能になり、Accelerated Processing Unitという新種のx86プロセッサの可能性が開ける」とエン氏は電子メールで述べている。

 AMDの45nmプロセッサには、同社が過去数年かけて開発してきた新しい半導体技術が盛り込まれる。AMDの第4世代ストレインドシリコン技術も使われる。この技術は、シリコン原子の間隔を広げて、電流がもっと高速に流れるようにして性能を高めるというもの。

 AMDとIBMが開発した「low-k」誘電体も使われる。これは、マイクロプロセッサ内のトランジスタをつなぐワイヤを絶縁することで、性能を15%高める。

 Intelが45nmプロセスに移行したとき、同社のエンジニアはハフニウムを使ったhigh-kメタルゲートプロセスを考案した。この技術は、プロセッサがアイドル状態のときにトランジスタから漏れるエネルギーを減らす。

 最後に、AMDは製造プロセスに液浸リソグラフィを採用する。いわゆる「ドライ」リソグラフィとは違って、液浸リソグラフィでは回路をシリコンにプリントする際に、小さな純水の水滴を使ってリソグラフィシステムのレンズとウエハーの間の空間を埋める。

 これにより、AMDはプリント時の精度を高め、より複雑な設計のプロセッサを製造できるとエン氏は言う。

 「AMDは、まず液浸リソグラフィ技術を作れば、回路設計の制約はほとんどなくなると感じている」(ブルックウッド氏)

 AMDの最初の45nmプロセッサは独ドレスデンのFab 36工場で製造される。

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