Analyst DayでチェックするAMDの最新ロードマップ元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2007年08月07日 15時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

開発は順調というBarcelona

AMDが示していたサーバ、ワークステーションプラットフォームのロードマップ。「Barcelona」「Busapest」と65ナノプロセスルールのCPUが続いたのちに45ナノプロセスの「Shanghai」が登場する

 現在、AMDで最もリリースが待たれていて最も早期に登場しそうなCPUが、クアッドコアの「Barcelona」(開発コード名)であることは間違いない。インテルと異なり、1つのダイに4つのコアを集積したBarcelonaは、各コアごとに独立したL2キャッシュ(512Kバイト)と、4コアで共有されるL3キャッシュ(2Mバイト)を持つ。8月からサーバベンダー向けの出荷を始めることになっており、今回のTechnology Analyst Dayでも、このスケジュールに変わりないことが強調された。

 最初にリリースされるBarcelonaは、Registeredメモリに対応したSocket Fを採用する予定で、製品名称もOpteron 2000、および同8000シリーズになるものと見られる。登場当初の最高動作クロックは2GHz、対応するメモリもDDR2-667までだが、2007年の第4四半期には動作クロックを引き上げ、2008年前半にはDDR2-800メモリへの対応が予定されている。

 また、2007年第4四半期には、UnbufferedのDDR2-800に対応したSocket AM2の「Budapest」(開発コード名)が、Opteron 1000としてリリースされる見込みだ。ほぼ同等の仕様となるデスクトップPC向けCPUの「Phoenom FX」および「Phoenom X4」もこのあたりに登場するだろう。AMDは、どちらも「2007年の第4四半期から出荷を開始する」としか述べていないため、どちらが先になるのか正確なところは分からない。

AMDの進化も「シュリンク」「アーキテクチャ更新」を交互に進める

 2008年後半に、初の45ナノメートルプロセスルールを採用したCPUとして登場する見込みなのが「Shanghai」(開発コード名)だ。Shanghaiの特徴は、Barcelonaで2Mバイトだった共有L3キャッシュが6Mバイトへ増量されることだが、現在のプラットフォームと同じSocket Fを使うことになっていることから考えて、その機能に大幅な変更はないと思われる(とはいえ、継続的なIPCの改善とAMDの資料に書かれているから、マイナーな強化はあるはずだ)。

 初めて採用する製造プロセスで機能や構成の大幅な変更を行わないというのは、CPU開発におけるセオリーであり、インテルも「Tick-Tock」戦略として公言している。AMDも「Pipe」という名称で、「シリコン技術の革新とコアの更新を隔年で行う」方針を明確にした。

 となると、Shanghaiの次に控えている第2世代の45ナノプロセスCPUである「Sandtiger」(開発コード名)で新しいコアが採用されることになる(以前の情報ではShanghaiの次は「Montreal」とされていた)。45ナノ世代の新しいコアとしてAMDは2種類を開発中だという。1つは現行のOpteronやAthlon、そしてPhoenomの後継となる「Bulldozer」(開発コード名)コア、もう1つがモバイルや組み込み(家電)に特化した「Bobcat」(開発コード名)コアだ。Sandtigerに搭載されるのはBulldozerで、1つのダイに8つのコアを載せたオクタルコアCPUとなる。このときにメモリコントローラがDDR3対応になるのを含め、新しいソケット、新しいプラットフォームへと移行する。

プロセスのシュリンクとアーキテクチャの更新を交互に進めていくAMDの「Pipe」はインテルの「Tick-Tock」と同じ発想といえる
汎用PC向けCPUのコアとして開発される「Bulldozer」と組み込み用として特化するBobcat
45ナノ世代のコアで実装が予定されている新しい機能

 2種類のコアを比較したときの構成の違いといった詳細情報は明らかにされていないが、Bobcatコアではシステムの消費電力が1ワットから10ワット、Bulldozerでは10ワットから100ワットを想定しているという。BobcatがIntelの「Silverthorne」(開発コード名)を意識したものであることは確実で、メインストリームのPC向けというより、デジタル家電を強く意識したモデルのようだ。

「Spider」から始まるデスクトップむけCPU新世代のロードマップ

 一方、デスクトップPC向けに2007年の第4四半期から、ネイティブクアッドコアCPUである「Phenom FX」と「Phenom X4」の出荷が始まる。Analyst Dayの会場では3GHzで動作するPhenom FXのデモが行われたようだが、これが出荷される製品の動作クロックなのかは不明だ。Phenom FXとPhenom X4の開発コード名は、従来犬の種類である「Greyhound」と呼ばれていたが、2007年になって星の名前である「Agena」と改められており、一連のCPUを“Stars”と呼ぶ関係者も多い。

 ハイパフォーマンスデスクトップPCのプラットフォームロードマップでは、Agenaに対応するプラットフォームが「Spider」(開発コード名)ということになる。SpiderはデュアルコアのPhenom X2とも互換性を持ち、こちらの開発コード名は「Kuma」とされている。Athlon X2と異なり、Phenom X2は2つのコアで共有されるL3キャッシュを持つなど、Agenaに相当するアーキテクチャのデュアルコアCPUになる。

 Spiderの次のプラットフォームとなる「Leo」(開発コード名)は、45ナノプロセスにシュリンクされたPhenom X4および同 X2に対応する。今回、このCPUの開発コード名は明らかにされていないが、AMDから報道向けに送付されたMedia Advisory(参考情報)には「RidgebackファミリーのCPU」と記載されていた。ただし、Ridgebackは犬の種類(ローデシア・リッジバックと思われる)であり、GreyhaundをAgenaに改めた経緯から考えるとあまり適切とは思えない。ひょっとすると古い呼称がそのまま資料に書かれていたのかもしれない。伝えられるところによると、Phenom FXとPhenom X4の開発コード名は「Deneb」、Phenom X2の開発コード名は「Propus」だといわれている。

 Leoの次のに控えるプラットフォームの「Python」(開発コード名)で、AMDはDDR3メモリへの移行を行う。これによりソケットもAM3となり従来との互換性は失われるが、時期を考えるとこれはやむを得ないことだろう。Pythonについては2009年に登場すること以外に詳細な情報は明らかにされていないが、前述のBulldozerコアを1つのダイに8つ搭載したオクタルコアCPUであることは確実だ。

関連キーワード

Intel対AMD | AMD | CPU | Phenom(Athlon 64) | ノートPC | Athlon | Opteron


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