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「チームウェンズデイ」──50周年「サンデー」と「マガジン」が異例のタッグ、大作家陣も応援

» 2008年03月18日 19時02分 公開
[ITmedia]
photo 19日発売の両誌の表紙で、サンデーの「名探偵コナン」とマガジンの「はじめの一歩」が“握手”。グラビアに登場する石原さとみさん、俳優の小栗旬さんも応援

 「週刊少年サンデー」(小学館)と「週刊少年マガジン」(講談社)が同じ日に創刊してから来年で50周年を迎えるのを機にタッグを組む。両誌の人気漫画を組み合わせた増刊号の共同発行や、「ユニクロ」など他業種を巻き込んだコラボレーションなどを展開していく。老舗出版社の看板漫画誌同士が垣根を越えて協力し合うのは異例の試み。漫画誌の販売が低落傾向になる中、「改めて漫画のおもしろさを伝えたい」と意気込んでいる。

 両誌が創刊されたのは同じ1959年3月17日。どちらが先に創刊するかで両社で激しい争いになり、最終的に同時創刊で落ち着いたという逸話を残す。以来、「オバQ」「タッチ」「巨人の星」「あしたのジョー」──と数々の名作が両誌から生まれ、日本の漫画文化に大きく貢献してきた。

photophoto 創刊号はサンデーが当時入団2年目の長嶋茂雄選手、マガジンが横綱の朝潮太郎だった。マスコットキャラはサンデーがナマズ、マガジンがモグラと「とても地味な動物」。ちなみにモグラには「ピモピモ」という名前があり、82年に初登場

 50周年を来年に控え、毎週水曜日発売の両誌が「チームウェンズデイ」を発足。「お祝いのお誕生会くらいは一緒にやろうじゃないか」とさまざまな協力企画を展開していく。

 まず4月10日、サンデーの「名探偵コナン」とマガジンの「金田一少年の事件簿」の過去作品をまとめた特別増刊号(380円)を発売する。毎月10・25日に発売し、4月は小学館が、5月は講談社が版元として販売。以降、1カ月ごとに版元を交代しながら発売していく。

photophoto バンダイからはキャラ入りの金銀メダルも

 異業種の各社が参加するコラボレーション企画も展開。オリジナルゲームソフトの開発をコナミが進めているほか、カードゲームやプライズ化も予定。エポック社は「上杉達也」(タッチ)と「花形満」(巨人の星)の対決もできるという野球盤を今夏に発売。ユニクロは19日から、両誌のキャラクターをデザインしたTシャツの新作を毎週水曜日、53週にわたって発売する。

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 18日に都内で開かれた発表会には、両誌で作品を連載してきたあだち充さん、高橋留美子さん、ちばてつやさん、藤子不二雄Aさんが登場し、両誌にエールを送った。

photophoto あだち充さんと高橋留美子さん

 あだちさんは「50歳過ぎて少年誌に連載しているとは思わなかった(苦笑)。おめでとうございます」とコメントし、高橋さんは「毎週、50年間出してきたのはすごいこと。ずっと週刊漫画は続いていくと思うので、若い人にもたすきをつないでいければ」と話した。

photophoto ちばてつやさん(左)と藤子不二雄Aさん

 ちばさんは「創刊の時は18歳の少年だった。マガジンで描いてきて、描くことは大変なので、40周年くらいで私は降りてしまったが、一緒に人生を過ごしてきたようだ」と振り返る。

 サンデー創刊号に「海の王子」を掲載した藤子不二雄Aさんは「創刊号には手塚治虫さん(「スリル博士」)、寺田ヒロオさん(「スポーツマン金太郎」)、益子かつみさん(「南蛮小天狗」)、横山隆一さん(「宇宙少年トンダー」)の5本が掲載されたが、みなさん亡くなって、残っているのは僕だけ。自慢じゃないんですが(笑)」。当時、依頼を受けて「週刊で原稿を落としたら大変だ」と故藤子・F・不二雄さんとよく考えた上で引き受けたというが、返事をした翌日にマガジンからも依頼が。「土下座して断ったんですが、それ以来講談社から仕事がこなくなって、小学館で描いてきた」と会場を笑わせた。

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