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» 2008年03月24日 16時13分 UPDATE

海の上のブロードバンド──「さんふらわあ」のネットサービスを見てきました

フェリー「さんふらわあ ふらの」は、下り最大3Mbpsの海上ブロードバンドサービスを備える。乗客が観光地の情報を調べるといった使い道のほか、気象情報の入手などで航海にも役立っている。

[宮本真希,ITmedia]
画像 さんふらわあ ふらのは、全長192メートルで1万3539トン。乗客定員は705人、乗組員は27人

 乗客が船上でインターネットを使えるフェリーは、日本に4隻しかない。茨城県大洗町と北海道苫小牧市を約20時間で結ぶフェリー「さんふらわあ ふらの」(商船三井フェリー)は、JSATの海上ブロードバンドサービス「Mega Wave Marine」を導入し、乗客が利用できる船上のネット環境を備えている。通信速度は下り最大3Mbpsと、従来の海上通信サービスの20倍高速という。船員が気象情報を調べたり、メールを送受信するなど業務の効率化にも役立っている。

画像 Mega Wave Marineの仕組み

 Mega Wave Marineは2005年に開始。海上の船からのインターネット接続や、船舶と会社を結ぶイントラネット構築が可能だ。下り回線はJSATの通信衛星でブロードバンド化(最大3Mbps)。上り回線は、NTTドコモの衛星パケット通信サービス「ワイドスターデュオ」(最大4.8kbps)や、KDDIの「インマルサットFleet」(最大28〜64Kbps)を使用する。


画像 操舵室に設置した船員用PCは、メールで会社と連絡を取ったり、気象情報を調べるのに活用している。左はMega Wave Marineを活用したPC、右は既存サービスを活用したPC。同じタイミングで同じページにアクセスしても、既存サービスでは画像の一部が表示されていない

 船舶に導入するための初期費用は150万円程度。下り回線は定額(月額5.8万円)で利用でき、上り回線はパケット量に応じて課金する仕組みだ。

 従来の船舶向けネット接続サービスは下りもパケットごとに課金する従量課金制で、「Yahoo!ニュース」の1ページを閲覧するのに約700円かかっていたが、Mega Wave Marineでは10分の1に抑えられたという。

 下りの通信速度が高速化し、料金も安くなったことで、乗客にもネット閲覧サービスを提供できるようになった。船員が気象情報を調べる、メールを送受信する、ウイルス対策ソフトやOSをアップデートする――といったことも短時間で行えるようになり、業務の効率化に役立っているという。

船旅の暇つぶしに

画像 ネット閲覧専用のPC

 さんふらわあ ふらのロビーには、ネット閲覧専用のPCが3台設置されている。「船上でWebサイトを見たい」という乗客の声に応え、昨年の2月に導入した。

 旅先の交通情報や観光情報を調べたり、船旅の暇つぶしに利用するといった乗客が多く、現在は1日に1台につき5人ほどが利用しているという。

 PCの横に設置した「パケットチャージャー」にコインを入れると利用できる。料金は25分または3000パケット(1パケットは128バイト)当たり500円。100円を追加すると、600パケットまたは5分間加算する。乗客が持ち込んだPCをネット接続することはできない。

 コインを投入し「ブラウザを再起動」をクリックすると、専用Webブラウザが立ち上がり、GoogleやYahoo!JAPANの検索窓、ニュースや天気、道路情報などジャンルごとのリンク集を掲載したトップページを表示する。ページの下部で残り時間・パケット数をチェックできる。

画像

 記者も停泊中の「さんふらわあ ふらの」に乗船し、乗客向けのネットサービスを体験してみた。GoogleでITmediaを検索すると、検索結果はすぐに出たが、ITmediaトップページを表示するのに1分半ほどかかった。3分ほど待ったが、画像は一部しか表示されなかった。「Mega Wave Marineを非常に遅く感じるかもしれないが、船上のインターネットとしてはとても速い」と船員は話す。

 現在Mega Wave Marineを導入しているのは25隻。そのうち乗客にネット閲覧サービスを提供しているのは「さんふらわあ ふらの」など商船三井フェリーが所有する4隻だ。JSATは今後5年間で200隻への導入を見込んでいる。上り回線にもJSATの通信衛星を使ったサービス提供を検討していく。

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