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» 2008年03月28日 16時14分 UPDATE

ネットの行動ターゲティング広告めぐりバトルの兆し (1/2)

ユーザー情報の収集と利用をめぐり、法律で規制するか自己規制を続けるかの論議が高まっている。

[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 コンシューマーのクリック履歴を分析して広告のターゲットを絞りやすくするネット行動ターゲティング広告の業界で、争いが起きそうな様相だ。

 Webユーザー向けに広告を出すことで(そしてユーザーが具体的にどの広告を見たがっているかを把握することで)収益を上げている急成長中の業界が、消費者のプライバシー保護に関して自己規制を続けるべきか、それとも州や連邦政府が介入してMicrosoft、Google、Yahoo!といったネット広告業者が収集・利用できる情報の量を制限すべきか。現時点の論議はこれが焦点となっている。

 これには多数の要因が絡んでいる。その1つとして、ネット広告業界は2002年に最初の自己規制が導入されて以来、劇的に変化した。企業が消費者のクリック履歴を追跡するのに使う技術も同様だ(消費者はショッピング客だけでなく、あらゆるネットユーザーが該当する)。

 例えば、新興のPhorm、Nebuといった企業は、ユーザーが利用しているインターネットサービスプロバイダー(ISP)からクリック情報を収集し、1人のユーザーがネット閲覧中に行ったクリックをすべて記録できるツールを開発した。Phormは英国の通信各社との契約を通じてこれを実現し、消費者の反発を買った。同時に消費者の間では、個人情報窃盗からソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のFacebookからのショッピング情報流出に至るまで、あらゆる分野でネット閲覧にまつわるプライバシー問題の認識が高まっている。

 詰まるところ問題は、ユーザーのネット利用に関して企業はどのくらいの情報を、そしてどんな種類の情報を収集・利用することが許されるのかという点に尽きる。

 ニューヨーク州議会のリチャード・ブロッドスカイ議員は、行動ターゲティング広告は個人のプライバシー権を侵害しており規制が必要だと話す。同議員がニューヨーク州議会に提出した法案は事実上、消費者の権利にかかわるインターネット広告法を制定するものだ。ネット企業がほかの州の消費者との関係を変えないまま1つの州の法律を守ることは難しいため、ニューヨーク州の法律が事実上の全米標準となる可能性は大きい。

 ブロッドスカイ議員によると、この法案は現在、同州の上院と下院の両方に提出されている。

 「われわれはこの法案について話している。これは明白で差し迫った問題だ」と同議員。

 法制定までのスケジュールを定めるのは難しいが、Microsoft、Google、Yahoo!から同議員が話を聞いた後、法案の内容は変わる公算が大きいという。「各社の考えと、どんな変更を求めているかが知りたい」

 この法案には、ネット広告業者に向けた以下のような条件が盛り込まれている。

  • 「医療や資産、性的行動や志向、社会保障番号について個人を特定可能な情報」を、オンライン・プリファレンス・マーケティング(消費者の好みに合わせた広告表示)に使うことを制限する
  • 情報は信頼できる情報源から収集し、「紛失、悪用、改ざん、破壊、不適切利用」を防ぐための「あらゆる相応な努力」をする
  • 個人を特定可能な情報を収集・利用する者は「はっきりと見えやすい告知」をWebサイトに掲載し、情報収集について消費者に知らせる
  • 個人情報収集からオプトアウトできる明白な選択肢を消費者に与える

 同様の法案はコネティカット州でも検討されているが、ニューヨーク州のこの法案に対しては、内容がほとんどNetwork Advertising Initiative(NAI)が提案した自己規制基準そのままであり、そもそもこれ自体が不適切だとの反対意見もある。NAIの目標は、消費者が自分のネット利用環境を把握・管理するための情報および仕組みの両方を提供し、ネット広告業者が標準とポリシーを確立するためのプラットフォームを提供することにあると、NAIのサイトには書かれている。

 Center for Democracy & Technology(CDT)のチーフコンピュータサイエンティスト、アリッサ・クーパー氏は言う。「法案はNAIが推進する内容に極端に似通っている。自己規制を法律にしようとしているのだ。それが適切かどうかは、自己規制計画の現状次第だ」

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