米Facebookは既に1万7000のアプリケーションをホスティングしているが、このほど新興企業Vivatyのおかげで新しい仮想世界の舞台になった。
Vivatyは3月31日、ユーザーがダウンロードして使えるブラウザベースのウィジェット「Vivaty Scenes」のテストを開始した。ユーザーは自分のFacebookプロフィールページで3次元仮想環境を構築し、友達を招待して参加を促すことができる。
仮想環境でユーザーは、屋上ガーデン、裏庭の景色、倉庫のレコーディングスタジオ、ビーチに面した家など、家の中と外のさまざまな環境のテンプレートを選択できる。家具を選んだり、仮想の壁にFacebookの写真を飾ったり、テレビにYouTubeの動画を流すことも可能だ。
Vivaty Scenesでは自動的にFacebookの友達リストを利用して友達とチャットできる。仮想環境に新しくメモや写真を張り付けるとFacebookのMini-Feedに表示され、友達はそのお知らせをクリックすることで仮想環境を訪れ、会うことができる。
デフォルトでは仮想環境を訪問できるのは友達だけだが、Facebook全体に公開することも可能。Vivaty Scenesを試してみたいユーザーは、まず3Mバイトのプラグインを同社のサイトからダウンロードできる。
こうした手法は、仮想現実ネットワークの大御所「Second Life」とは対照的だ。Second Lifeでは公開先の設定はないし、ユーザーは100Mバイトのプログラムをインストールしなければならない。
「ここではユーザーが、どこかのパブリッシャーに合わせるのではなく、自分に合ったコンテンツでカスタマイズ・パーソナライズした真に自分自身の仮想環境を持てる」。Vivatyの共同創業者で社長兼CEOのキース・マカーディ氏は4月2日、eWEEKにこう語った。
Gartnerのアナリスト、アダム・サーナー氏はVivaty Scenesについて、ユーザーがFacebookのような連鎖性の高いネットワークで短期的に仮想世界を体験してみる手段として優れていると指摘。商品販売業者は、客にVivatyのようなミニワールドを作ってもらえるようにするだろうと予想する。
「必要に応じて1つの世界を作ることができるのは、自己表現の1つの形だ。ダウンロードは嫌われるので、Webベースというのもいい」としながらも、サーナー氏が1点だけ批判するのは、グラフィックス(Second Lifeに似ていると同氏は言う)がやや弱い点だ。
VivatyはFacebookでスタートしたが、MySpaceなどのソーシャルネットワーク(SNS)やブログ、ブランドサイトにも拡大が予想される。VivatyがFacebookでスタートしたのは、6800万人のユーザーがいるからだとマカーディ氏は説明する。
Vivaty Scenesはほかの新しいWebアプリの大半と同様に無料で、しばらくはそのまま据え置かれる見通しだ。
Vivatyが具体的にどう収益を上げるのかについてマカーディ氏は口を閉ざしているが、同社の計画に近い筋によれば、仮想世界で自社ブランドを使って商品を販売したい企業に課金することに加え、広告ベースの収益モデルを構築するとみられる。
マカーディ氏は、次にどのSNSやブログにVivatyの技術が登場するのかも明かさなかったが、「至る所に進出する計画だ」と語った。
興味深いのは、Vivatyのアプリがエンタープライズ分野にも進出するかどうかだ。IBMとLinden Labは4月3日、IBMのサーバでSecond Lifeをホスティングする共同プロジェクトを発表した。職場における3D世界の採用を企業に促すのが目的だ。
FacebookのようなSNSでそれなりの信頼が築ければ、企業もいずれ、従業員がワークフロー改善のためにVivaty Scenesのようなコラボレーションアプリを使うことを認めるかもしれない。
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