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アッカ、無線ブロードバンドに本格参入 イー・モバMVNOで初のレンタル制導入も

» 2008年05月16日 16時20分 公開
[ITmedia]

 アッカ・ネットワークスの須山勇社長兼CEO(最高経営責任者)は5月15日、ワイヤレスブロードバンドサービスに本格参入すると発表した。ADSLサービスの維持に努めつつ、MVNO方式によるデータ通信サービスや無線と有線を組み合わせたFMCサービスなどを今後の事業の柱にする。

photo 決算説明会資料より

 同社は6月、「ACCA mobile」としてMVNOによる2つのデータ通信サービスを始める。NTTドコモの回線を借りる法人向けサービスと、イー・モバイルの回線を借りる個人・法人向けサービスで、それぞれ下り最大7.2MbpsのHSDPA回線を活用する。

 ドコモMVNOはサービスエリアや実績を重視する法人向け、イー・モバイルMVNOは個人や料金を重視するユーザー向けと切り分ける。イー・モバイルMVNOでは、初期料金と月額料金、契約期間のバランスを考慮した加入しやすいプランを検討しており、「ちょっと出張で使ってみるなど、短期間の用途向けにレンタルサービスを検討している」(須山社長)という。

 ACCA mobileとADSLを組み合わせた無線+有線デュアルサービスを安価に提供するほか、1つのIDでそれぞれシームレスに使えるFMCサービスも検討していく。

 同日発表した1〜3月期の連結決算は、売上高が前年同期比12%減の80億6400万円、営業利益が17%減の7億800万円になるなど、減収減益だった。売上高の9割超を占める個人向けADSL事業が、光サービスへのシフトに伴う市場縮小の影響で減少傾向にある一方、それに代わる成長の軸が現状ではないのが響いている。

 ADSL市場の縮小は近く歯止めがかかると予想しているが、長期間使っているユーザー向けの優遇プランを提供するなどし、現ユーザーの維持に注力して売り上げを確保する。その上で、今後の拡大が見込まれる無線ブロードバンド事業を軌道にのせ、成長のドライバーにする──という戦略だ。一方、ネットワーク関連コストを前期比で17%カットするほか、採算性の厳しい事業を整理するなど、原価構造の見直しも断行する。

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