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» 2008年05月19日 20時27分 UPDATE

“iPod課金”は「突然蒸し返された」わけではない

「iPodなどに私的録音録画補償金を課金すべき」という議論が再び盛り上がっている。「終息したはずの議論が突然蒸し返された」という見方もあったが、実際にはそうではない。

[岡田有花,ITmedia]

 先週のアクセストップは、自動改札の上で熟睡する猫の様子を撮影した動画「えきねこ」が人気、という「ねとらぼ」の記事だった。ネットユーザーは本当に猫好きだなぁ、ということを改めて確認した。

 音楽著作権絡みの記事も上位に。3位には、日本音楽著作権協会(JASRAC)と同様、音楽著作権管理業務を行っているジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)の記事が、5位にはJASRAC菅原瑞夫常務理事の、「ダビング10」に関する発言の記事が入っている。

 著作権関連では、私的録音録画補償金に関する議論が、ネット上で活発化している。文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会内「私的録音録画小委員会」の5月8日の会合で、「iPodやHDDレコーダーなどに私的録音録画補償金を課金すべき」という案を文化庁が提示したことがきっかけ(文化庁「iPod課金=補償金拡大ではない」 JEITAと対立)。「iPodに補償金課金へ」という報道が盛り上がり、小委員会には珍しく、テレビの取材も入った。

 ネット上では「iPod課金の議論がなぜ今になって蒸し返されたのか」といった論調が目立った。だが、ASCIIのインタビュー記事で津田大介さんが指摘していた通り、今回の議論は「突然蒸し返された」のではない。文化庁は1月の段階で、iPod課金を含む新制度案を提示しており、5月8日の案はそれを具体化したもの。小委員会での2年以上にわたる議論に決着を付けよう――という、一連の流れの中での動きだった。

こう着した議論、文化庁案で打開目指した

 小委員会では2006年から、補償金をどうするかについて議論してきた。権利者側は「補償金を存続・拡大すべき」という主張を、メーカー・利用者側は「補償金は不要」といった主張をしてきており、議論がこう着していた。

 その状況を打開するために文化庁が1月に新制度案のラフを提出。「補償金は将来、縮小・撤廃するが、それまでの暫定的措置として、CDからのiPodなどへの録音と、ダビング10対応機器への録画には補償金課金を検討する」という内容だ。

 「補償金は将来、縮小・撤廃する」という部分は権利者にとっては厳しい条件。「iPodやダビング10対応機器に課金する」という部分はメーカーや利用者に厳しい条件だが、各委員の意見を総合して真ん中を取るとこうならざるを得ない――という面もあり、“三方一両損”で合意を目指していた。

JEITAは歩み寄ったのでは……?

 JEITAと権利者は、補償金に関する利益が相反。補償金と「ダビング10」の関係をめぐり、小委員会の“外”でも対立色が強まっていた(「JEITAの対応、憤り禁じ得ない」と権利者団体 私的録音録画補償金問題で)。

 だがJEITAの委員が4月の小委員会で「文化庁案に沿って、バランスの取れた解を見つけるために真摯(しんし)に努力する」と発言。「JEITAが合意に向けて歩み寄った」と権利者側はとらえており、小委員会での合意への期待が高まった(「JEITAの変化を高く評価」と権利者団体 HDDレコーダーやiPodへ補償金課金目指す)。

 しかし、5月8日に文化庁が示した、具体的な制度改正案を見てJEITAの委員は「補償金の課金対象が際限なく拡大するのでは」と改めて強い懸念を表明。合意にはほど遠い雰囲気になった(文化庁「iPod課金=補償金拡大ではない」 JEITAと対立 )。

 文化庁は次の小委員会でJEITAに対し、「“iPod課金”は暫定的措置で、将来は補償金を縮小・撤廃する」と説明する資料をそろえ、「補償金の課金対象が際限なく拡大する」という「誤解」を解く方針だ。

 小委員会で2年にわたって議論してきたのに結論も成果もないという状況を何とかして打開しようと、焦っているようにも見える。

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