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インディの水晶ドクロ、大英博物館とスミソニアン所蔵も偽物

» 2008年05月26日 08時14分 公開
[ITmedia]

 インディアナ・ジョーンズの20年ぶり最新シリーズでテーマとなっている、アステカ文明由来とされる水晶製ドクロ「クリスタル・スカル」のうち2つが偽物であることが新たに判明した。

 フランスのケ・ブランリ美術館が所蔵する水晶ドクロは19世紀に作られた偽物であることが判明しているが、今回は大英博物館とスミソニアン博物館が所蔵する2個を両博物館、英キングストン大学、英カーディフ大学が調査。

 その結果、この2つの水晶ドクロはメキシコの古代文明により生み出されたものではなく、大英博物館の所蔵品は19世紀のヨーロッパで製作され、スミソニアン博物館所蔵物は1960年にメキシコシティで入手する少し前に作られたものだと共同調査チームは解説している。

skull 大英博物館所蔵の水晶ドクロ (C) Trustees of the British Museum

 大英博物館所蔵の水晶ドクロは1897年にTiffanyから購入したもので、スミソニアン博物館所蔵のものは1992年に寄贈されている。調査チームが最新の電子顕微鏡で調べたところ、いずれも回転ディスクによる加工ツールが使用されていることが判明した。大英博物館所蔵品の素材はブラジルかマダガスカル産の水晶であり、古代メキシコの交易範囲から逸脱している。このため、この2つの水晶ドクロは偽物と結論付けられた。

 カーディフ大学の歴史考古学担当教授であるイアン・フリーストーン氏は、水晶ドクロのような特異な出土品が偽物であったことは残念としながらも「過去を正しく理解するには本物と偽物を見極めることが大切だ。インディアナ・ジョーンズによる本物の水晶ドクロ探しは、われわれよりも幸運に恵まれることになるだろう」と述べている。

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