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ダビング10延期、レコーダー市場に「影響なし」 認知度の低さ浮き彫り

» 2008年06月18日 17時17分 公開
[ITmedia]

 ダビング10の延期は「レコーダー市場にほとんど影響がなかった」──BCNの田中繁廣チーフアナリストによると、ダビング10をめぐる騒動は現時点では北京オリンピック商戦に影響がなく、Blu-ray Discレコーダーは好調に販売を伸ばしているという。混乱を嫌ったユーザーによる買い控えも懸念されていたが、ダビング10の認知度の低さに逆に救われた格好だ。

 同社が全国26社・約2350店の販売データをまとめた結果によると、DVD・HDDレコーダーは、4月までは台数ベースで前年割れが続く状況だったが、各社のBDレコーダー新製品が出そろった5月には拡大基調に転換。同月は台数ベースで前年同月比6.9%増、金額ベースで同18.6%増となり、6月前半は台数で同25.2%増・金額で同38.3%増と成長が続く。

photophoto 五輪需要が動き出し、5月を境にBDの本格普及期に。メーカー別シェアではソニーと松下の争いが激化し、シャープが追う

 「5月を境にBDの普及期に入った」(田中氏)。7月も台数で同20%増・金額で同25%前後の拡大を見込んでいる。レコーダーはスポーツイベントの期間中も販売が伸び続ける傾向があり、日本選手の活躍次第では五輪開幕後の8月中旬まで需要のピークが続く可能性もあるとしている。

「ダビング10」低い認知度の裏返し

 当初6月2日のスタートを予定していた「ダビング10」は、私的録音録画補償金をめぐるメーカーと権利者の対立から延期に。ダビング10への対応を待つユーザーによる買い控えも懸念されていた(ダビング10先送りで「五輪商戦」に水? メーカー板挟み)。

 だが田中氏によると、現時点では販売データに影響は現れておらず、騒動が需要の足を引っ張ることはなかったという。「ダビング10自体が認知されていなかったと思う。逆に言えば、レコーダーというものがそこまで一般には理解されていないということ。良くも悪くも影響はなかった」(田中氏)

 ただ、田中氏は「早期決着した方がメーカー、権利者とも将来の新ビジネスにつながる。直前に延期というのは通常では考えられない」とも指摘した。

 ダビング10をめぐっては17日、BDとBDレコーダーを補償金の課金対象とすることで文部科学省と経済産業省が合意。北京五輪前のダビング10開始に向けて動き出したが、先行きは不透明だ。

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