ニュース
» 2008年06月23日 07時00分 UPDATE

「学校裏サイト」管理人に聞く(下):「裏サイト問題」を解決するには

掲示板サービスがある限り、学校裏サイトは消えない。裏サイト問題を解決するキーは教育だと掲示板管理人は口をそろえる。警察や学校と連携し、問題解決に協力していきたいという。

[岡田有花,ITmedia]

裏サイト問題を解決するには

――裏サイト問題を解決するにはどうすればいいでしょうか。

古川:教育な気がします。コンビニで万引きしちゃいけませんと教えるとみんな、それなりに万引きとかしないじゃないですか。

矢野:うん、指導とか、リテラシーの問題とか。先生や親が、あまりインターネットを身近に思っていないから、恐怖が増幅していると思います。子どものほうが使いこなしているじゃないか。それをちゃんと教育できる体制ができれば……良くなるのかな。

画像 矢野さん(左)と古川さん

古川:なるんじゃないかなぁ? だってみんな、あんまり万引きとか、人の迷惑になることはしないじゃない。それと同じな気がします。

矢野:と言ってもやはり、善悪の判断は学校で教わらなくてもできたよね。

古川:そうかな? 今僕がもし学生で、学校裏サイト見てて、みんなが悪いこと書いていたら、「悪いだろうな」と思いつつもやる気がする。でも「ダメ」って言われたら「あ、そうか」と思ってやめる気がします。ついやっちゃうけど、本当にだめなんだと気付かせてくれたら。中学生ぐらいなら、言えばやめるんじゃないかなぁ。

矢野:そうだね。書き込んでいる子も面白がってるだけできっと悪意はないから、ある程度は教育でカバーできる部分はあるかもしれません。

 あと、削除依頼のやり方をもっと周知するといいと思います。僕のところには、なぜか校長・教頭先生など偉い人から削除依頼が来ることが多いんだど、依頼は誰がしてくれてもいいし、僕は親身に相談に乗りますから。

――フィルタリングでアクセス制限することで解決しようという考え方もあります。

古川:僕は「フィルタリングはいいじゃないですか」と思っているけれど、インターネットの空気的に、あまり言えない。18歳未満のインターネットをある程度制限するって結構正しい気がしていて。人の殺し方とかそういうサイトに未成年がアクセスできまくるって、どうだろうと思うんですよね。

矢野:でも「そういうのを見られるネットは恐いなぁ」というのも知りつつ、ネットのいい部分も知りつつ、大きな大人になってほしい。

古川:そういえば僕、高校生ぐらいの時ピッキング情報とかすげぇ見てて、すげぇ楽しかった。Warez(違法ソフト)とかも。でも、見られるから見ただけで、良かったかというと……。自分の娘とかに見せたいかというと見せたくないと思うんですよね。

フィルタリング問題――ネットはAVと同じ?

――18歳未満にフィルタリングをかけると、19歳になったら急に、フィルタリングなしで見られるということになりますね。

古川:それはAVとかパチンコとかと同じじゃないかな。

矢野:インターネットはAV並みか。

古川:AVって未成年でも見たりするけど、そうそうおおっぴらに借りれない。でも子どもたちは見ようと思えば見れるわけですよ。今の中学生とかに聞いてみると、インターネット経由で裏ビデオとかガンガンみてて、良くない気がします。

矢野:フィルタリングって、本当のネットの良さを損なわずに悪い部分だけが見えなくなる理想のものならいいと思うんですけど、必要なものもブロックされて、ネットのいい部分が見えなくなって、表面的な世界しか見られないのは良くないと思います。

古川:分かる。僕はYahoo!掲示板や2chが荒れていても子どもが見てもいいと思います。責任者が明確で、その責任のもとでやっているから。2chも個人情報は消すし、個人攻撃、犯罪性のある書き込みは消される。でも、違法サイトや裏ビデオ、麻薬はここで買えるという情報まで規制なしで見られるのは良くないなと思います。

裏サイトを作っても、お金にはならない

――掲示板運営で収入はありますか。

矢野:いえ、僕は学校裏サイトには広告を張っていません。それでもうけてるんだと見られてると嫌なので、広告を外している。それ以外の2ch2の掲示板には広告を張って、サーバ費用などをまかなってます。

古川:ミルクカフェは僕の給料、自費でまかなってます。1カ月に2万円ぐらい。

矢野:2万もするんだ。

古川:昔はもっと高くて、規模は小さかったけどそれぐらいかかってた気がする。だいぶ安くなりました。

「やめたい」「いや、面白い」

――掲示板運営は、削除依頼の対応などを考えるとかなり面倒ですよね。それに、もうからない。やめてしまいたいと思うことはありませんか?

古川:1日2回ぐらい思います。

矢野:ぼくは逆で、削除依頼とかをきっかけに、いろんな人とコミュニケ―ションできることが面白いと思う。

古川:8年もやると飽きない? 中高生の話題にも付いていけないし。

――それでも続けているのはなぜですか?

古川:2ch管理人の西村博之さんも言っていたけれど、やめるほうが大変だから。あとやっぱり、愛情がありますから、ユーザーに対しての。

矢野:その場所を楽しみに来ている人が1人でもいれば、僕は消したくありません。削除依頼や開示請求もすぐに受け付けるし、相談があれば親身に対応できるから、悪い掲示板が僕のところに集まるのは悪くないかもしれない。でも確かに運営している意味はないし、いじめが行われるのはよくないし、やめちゃおうかなぁ……。

――ミルクカフェや裏2chは管理人がしっかり削除依頼に対応していますが、掲示板サイトは誰でも簡単に作ることができますよね。悪意のある人が作ったら大変かもしれません。

古川:「裏サイト専用サイトで削除機能がありません」なんてサイトを作って、連絡先も書かずに運営者が誰か分からない、という掲示板だったら大変ですよね。

矢野:一般的に学校裏サイトは、削除依頼してもなかなか受け付けてくれないと聞きます。でも2ch2は依頼が来た時点で削除しますし、相談にも乗ります。学校関係者が自分の学校関連で問題のある書き込みを見つけたら、気軽に相談してほしいです。

警察や学校に協力したい

矢野:警察にも、ネットの事情が分からず、対応のしかたが分かっていない人がいます。ハイテク犯罪の専門部署があるような県警だといいのですが、そういうのがなくて、生活安全課でたまたま担当している人とか特に。僕がいろいろ教えてあげたりしています。

古川:うん、学校の人も親も警察も頑張って分かろうとしているのは見えるから、僕は好感を持ってます。

矢野:サポートとか協力体勢ができればな、とは、掲示板運営者はみんな思ってると思います。

古川:ご協力はしたいですよね。

矢野:(画面を見せながら)こんなのを作ってみたんだけど……。名前を入れると、その名前で中傷が掲示板に自動投稿されるジェネレーター。

古川:学校に行って、生徒に自分の名前を入れさせて中傷される様子を見せて、「どう感じますか?」と聞いてみて考えさせる、という教育に使えそう。僕たちに何ができるかな。

 ――矢野さとるさんが、犯罪予告関連の書き込みを収集し、犯罪防止に役立てるサイト「予告.in」を公開したのは、このインタビューの一週間後だった(犯行予告収集サイト「予告.in」公開 「0億円、2時間で作った」)。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -