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Google Chromeを使ってみた――「かくあるべき」ブラウザの姿(1/5 ページ)

» 2008年09月03日 09時55分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 本日、新たなプレイヤーがブラウザ戦争に加わった。これはMicrosoftがNetscapeと戦う決意をした日以来、ブラウザ分野における最大の変化だ。Google Chromeβ版立ち上げという意外な動きで、Googleは既に今のブラウザの展望を変えてしまった。さらに同社はWebの未来を変えられるかもしれない態勢にある。

 話を進める前に、わたしがGoogleの新ブラウザを数時間しか使っていないことを明記しておきたい。継続して使えば、Chromeに対するわたしの見方を変えるような問題が出てくるかもしれない。

 だが今のところ、短時間のテストでは、Chromeはこれまで見た中で最も印象的な新ブラウザかもしれない。β版ならではの問題もまだ幾つかあるが、使ってみたところでは、だいたい「ブラウザとはこのように動くべきものだ」と感じた。

 もちろん、Chromeβ版の素晴らしい機能の多くはFirefox、Opera、Safari、それからInternet Explorer(IE)など競合ブラウザの功績と言うべきだろう。Chromeにはまったく新しい機能があまりないからだ。タブからプライベート閲覧モードまで、機能のほとんどは既に競合ブラウザにあるものだ。

 だがChromeのこれら機能の実装方法は、ほとんどの場合非常にうまくいっており、優れたユーザビリティとコア機能を持つブラウザが出来上がっている。

 Chrome――今のところWindows向けにしか提供されていない――の起動時には、検索とアドレスバーの統合(デフォルトの検索エンジンはGoogleだが、競合検索サイトに変更することもできる)やOperaのスピードダイヤルから取り入れたような新しいタブ機能など、インタフェース機能の幾つかを体験できる。

 ChromeでWebを閲覧すると、さらに多くの機能が見えてくる。新しいタブをクリックすると、頻繁にアクセスするWebサイトのサムネイルと、ブックマークへのリンクが表示される。この機能は気に入ったが、頻繁に訪れるサイトだけでなく、ユーザーがサムネイル表示するサイトをカスタマイズできる方がいい。

 IE 8と同様に、Chromeには「incognito」(イタリア語で「匿名」の意)モードと呼ばれるプライベート閲覧モードがある。このモードで新しくウィンドウを立ち上げることもできるし、リンクから直接incognitoモードのウィンドウを開くこともできる。このモードではWeb閲覧セッションの痕跡(cookieなど)が保存されない。ユーザーはincognitoモード中であることを、ブラウザ左上のスパイマークで確認できる。

 Chromeのアドレスバーでは検索と標準的なURL入力が統合されている。慣れるまでに少しかかるが、いったん慣れるとこの使い方は気に入った。

 そのほかのおもしろい機能は、Google Gearsが統合されていることだ。Chromeではアプリケーションショートカットと呼ばれており、ユーザーはどのWebアプリケーションでもデスクトップベースのWebアプリケーションとして保存でき、スタートメニュー、Quick Launch、デスクトップに起動アイコンを置ける。

 ほかのブラウザと同様に、証明書と入力したアドレスが一致しないセキュアなサイトにアクセスしたときには警告が出る。また、今のところChromeに統合されたGoogle検索でしか見られないのだが、Webサイトが開けなかったときに、ChromeのエラーページでGoogleキャッシュからそのサイトを開く選択肢が提示される。

 短時間テストでは、不安定なサイトやアプリケーションに出くわしたことはなかった。このため、すべてのタブを別々のプロセスとして実行するという新機能はテストできなかった。この機能は、1つのサイトやアプリケーションがブラウザ全体をダウンさせるのを防ぐはずだ。

 Chromeは、標準サポートに優れたWebKitエンジンを基盤としている。わたしがテストした間は、Chromeで動作しないサイトに行き当たったことはなかった。もっとも、そうしたサイトは必ず存在するだろうが。

 全体的に言うと、ChromeはWebブラウザ分野へのエキサイティングで素晴らしい新規参入者だ。引き続き今回のβ版と今後のリリースをテストし、新しい発見や潜在的な問題があれば報告していく。

 Google Chromeβ版を試してみたい人は、www.google.com/chromeで入手できる。

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