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» 2008年09月22日 18時38分 UPDATE

地方動物園の危機、ライブ配信が救う 須坂市動物園、ケータイにも24時間配信

須坂市動物園縮小・廃止の危機を救ったのは、動物映像のライブ配信だった。新たに、携帯電話向けにも24時間配信。さらなる入園者数増を見込む。

[宮本真希,ITmedia]

 長野県須坂市と須高ケーブルテレビ、アットネットホームは9月22日、須坂市動物園の動物の様子を24時間ライブ配信するPC・携帯サイト「動物なにしてる?須坂市動物園テレビ」をオープンした。動物園への関心を高めて入園者数を増やし、地域の活性化につなげる狙いだ。

 同園の様子は、2005年から須高ケーブルテレビ加入者限定で「デジタルアニマルパーク」として24時間ライブ配信してきた(動物園の様子を24時間配信〜@NetHomeと須高ケーブル)。一時は縮小・閉園の危機にあった同園だが、デジタルアニマルパークが注目を集めて人気が高まり、入園者が大幅に増えたという。

画像 ライブ配信映像。カンガルーのハッチが寝ている

 06年の入園者数は、04年の約3倍・23万7000人で過去最高。07年は23万1559人だった。「情報発信は、地方が生き残っていくための道筋になるのでは」――三木正夫市長は期待を寄せる。

 デジタルアニマルパークはケーブルテレビ加入者限定だったが、新サイトは誰でも無料でアクセス可能にし、携帯電話でも利用できるようにして間口を広げる。映像を24時間ライブ配信する携帯サイトは国内初という。

人気カンガルー「ハッチ」の様子も配信

 園内に設置した23台のカメラのうち、5台のカメラの映像をストリーミングで配信し、2週間ごとに別のカメラ映像に切り替える。トラやペンギンなどの映像が見られるほか、テレビに取り上げられたこともある人気のカンガルー「ハッチ」の様子も配信。普段は見ることができないハッチの寝室の様子も公開する。

 視聴者はライブ映像をキャプチャし、PCに保存したり、「投稿写真館」というメニューから投稿・共有できる。実際に動物園を訪れたときに撮影した写真の投稿も受け付ける。

画像 飼育員の解説も動画で視聴できる

 動物園がYouTubeに投稿したオリジナル番組もサイトに掲載。飼育員による説明や、ライブカメラ映像の中から面白いシーンなどを紹介する。

 携帯サイトでもPCサイトと同様、ライブ映像やオリジナル番組を配信する。ライブ映像が視聴できるのは、NTTドコモとソフトバンクモバイルの端末のみ。

 サイトの企画・監修は須高ケーブルテレビが、サイトの制作・運営やカメラの監視・運用はアットネットホームが担当する。

縮小・廃止の危機、ライブ配信で乗り越える

画像 小林正和動物飼育技術員

 同園は1962年開園。飼育しているほ乳類・鳥類は49種・約250匹、飼育員は9人、広さは7950平方メートルと小規模な動物園だ。1981年には入園者数が約14万7000人あったが、その後は減少が続き、2003年は6万3000人に。縮小や廃止を検討したこともあったという。

 「ルーティーンワークだけをやっているだけではダメだ」――入園者の落ち込みを打開するため、05年に始めたのがライブ配信・デジタルアニマルパークだったと、小林正和動物飼育技術員は話す。

 ライブ配信で「飼育員にとっては普通の情報でも、一般の人にとっては面白いと認識できた」という。「不安だらけのスタートだったが、動物園への関心を高めるきっかけとなり、入園者増という結果も付いてきた。地方の施設が生き残るためのキーワードは、情報発信や工夫」

 04年度の入園料(一般200円、中学生以下70円)収入は832万円だったが、06年度、07年度には3000万円を超えた。

広告掲載やCM配信を新たな収入源に

 新サイトではバナー広告を掲載するほか、ライブ配信映像の前後にCMも流す。CM枠は須高ケーブルテレビが、バナー広告枠はアットネットホームが販売。新たな収入源に育てていきたい考えだ。

 今後はほかの動物園や水族館などと連携し、複数の施設の様子をライブ映像で確認できるようにする計画だ。

 同園にFeliCaリーダー/ライターを設置し、携帯電話をかさすとその場で飼育員による解説動画を視聴できるといったサービスも提供する予定だ。

 デジタルアニマルパークも新サイトと並行して続ける。配信映像の種類は新サイトより増やすほか、子ども向けのサイトにしていくという。

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