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「Windows HPC Server 2008」日本語版リリース

» 2008年10月03日 07時00分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは10月2日、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けOS「Windows HPC Server 2008」日本語版をリリースした。学術分野や産業向けに加え、リスク分析などで大量の計算を行っている金融分野での普及を目指す。

photo 発表会に出席した(右から)米MS・HPC担当ゼネラルマネージャーのキリル・ファエノフ氏、東工大の松岡教授、CTCの藁科至徳常務執行役員、佐分利ユージン執行役常務

 Windows HPC Server 2008は「Windows Compute Cluster Server 2003」の後継OSで、サーバ用OS「Windows Server 2008」がベース。従来は数ノードクラスの中小規模環境を想定していたが、数百ノードを超える大規模環境にも対応する管理機能などを充実させた。

 既存のWindowsシステムとの統合や、金融機関などで多用されるExcelとの連携が容易な点などが特徴。並列プログラム開発環境はVisual Studio 2008による統合環境として提供。新たにSOAベースのジョブスケジューラーを搭載した。

 日本語版ボリュームライセンスの参考価格は、「Open Business License」が9万1400円(税別)など。米国を発端に金融危機が続いているが、「むしろリスク解析のニーズが高まるのでは」として、伊藤忠テクノソリューションズらパートナー企業と共同で金融分野などへの浸透を図っていく。

 HPC Server 2008を採用した米国立スーパーコンピューター応用研究所(NCSA)のシステムが68.5TFLOPSをマークしてTop500の23位に入るなど、スーパーコンピューティング分野でも存在感を示し始めている。同OSの開発に協力してきた東京工業大学の松岡聡教授は、2010年に計画しているペタFLOPSクラスの「TSUBAME」新世代システムで、同OSを本格的に採用する考えを明らかにした。

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