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MSがSaaS製品の正式版を披露――オンライン版のExchangeとSharePoint柔軟な価格体系を導入へ

» 2008年11月18日 14時12分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 (編注:本記事はMicrosoftの正式発表前に執筆されたものです。発表文はこちらです。)

 Microsoftは11月17日、サンフランシスコで開催されたイベントで「Exchange Online」および「SharePoint Online」を正式発表した。両製品はこれまでβ版として提供されていた。

 Exchange OnlineとSharePoint Onlineは9カ月前から、ユーザー数が5000シート以下の企業を対象に提供されていたが、今回の正式リリースで米国内のあらゆる規模の企業で利用できるようになった。

 Microsoftの世界では数カ月前から、「Microsoft Online Services」ポートフォリオの一部として同社の古典的なプロダクティビティ/コラボレーションスイートのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)バージョンの登場が待たれていた。

 Exchange OnlineとSharePoint Onlineは単独で提供されるほか、両製品にカンファレンス用の「Office Live Meeting」、「Microsoft Exchange Hosted Services」、インスタントメッセージング/プレゼンス製品の「Microsoft Office Communications Online」を加えたスイートとしても提供される。

 Microsoftのインフォメーションワーカー部門のクリス・カポセラ上級副社長がeWEEKの取材で語ったところによると、Exchange OnlineとSharePoint Onlineの価格は、各ユーザーのニーズに応じて1ユーザーに付き月額2〜15ドルに設定となる。例えば、ExchangeからのOutlook電子メールにアクセスするだけの外勤の「デスクレス」ワーカーであれば月額2ドル支払えばよい。

 1ユーザーに付き月額15ドルの場合、Exchangeにアクセスできるほか、SharePoint Onlineのすべての機能およびWebカンファレンスアプリケーションのOffice LiveMeetingを利用できる。カポセラ氏によると、この方式は、Google Appsなどの競合SaaSソリューションが採用している「万能サイズ」的なアプリケーションパッケージングおよび価格設定とは異なるという。Google AppsのPremier Editionの価格は、1ユーザーに付き年額50ドル。

 今回の発表のちょうど3週間前に、MicrosoftはProfessional Developer Conferenceで「Azure」を発表した。

 まだ技術プレビュー版の段階だが、AzureはWindowsをクラウドコンピューティングソリューションにするというMicrosoftのビジョンであり、ユーザーはPCやサーバにWindowsアプリケーションダウンロードしなくても、インターネットを通じて同じアプリケーションをサービスとして購入できる。Azureには、「Live Services」「.NET Services」「SQL Services」「SharePoint Services」「Dynamics CRM Services」などが含まれる。

 Online ServicesはAzureプラットフォームを補完するもので、MicrosoftはこれによりSaaS市場でGoogleへの対抗を狙う。Microsoftはクラウドへの進出に出遅れたと批判されてきたが、Azureの発表およびOnline Servicesの前進でこういった批判が静まるかもしれない。

 11月17日にサンフランシスコで行われたイベントでは、Microsoftビジネス部門のスティーブン・エロップ社長が、主要な顧客企業およびパートナー企業からの出席者を前にExchange OnlineとSharePoint Onlineを披露した。

 カポセラ氏によると、Microsoftはこれまでに50万シート以上のMicrosoft Online Servicesを販売したという。これにはExchange Online、SharePoint Online、Office Communications Onlineなどが含まれる。主な顧客はEddie Bauer、Pitney Bowes、CG Healthcare Solutions、Clean Power Research、Fair Isaacなどだ。

 7月に開かれた同社のWorldwide Partner ConferenceでOnline Servicesを発表して以来、1500社を超える企業がOnline Servicesを対象としたMicrosoft Partner Programに登録した。

 パートナーの1社であるCemaphoreは、電子メール同期化製品を開発した。この製品を利用すれば、Microsoftの顧客がExchangeのオンプレミス(自社保有)版と新しいSaaS版Exchange Onlineとの間で簡単に電子メールの移行が行える。

 Microsoftは今回のイベントで、Microsoft Online Services用の「IT管理/セキュリティソリューション」を来年に提供するという計画も明らかにした。これは、「Windows System Center」アプリケーションのSaaS版といえるものである。

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